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1993

すばらしい日々

高校を卒業したら実家を出ることを本気で考えていた私は、高校2年の夏でテニス部を辞め、アルバイトをして貯金をすることにしました。わりと時給が良かったので京成八千代台駅近くのメガネ屋でアルバイトをしていました。視力が良かったのでメガネをつけたことはなかったのですが、仕事用にメガネをくれました。メガネ屋の店長は「メガネのフレームの原価は安くて数百円程度だけど、レンズの加工技術料がほとんどの売り上げだからめちゃめちゃ儲かるんだよ〜!」と言って、銀座アスターをごちそうしてくれました。社員の人はスープラに乗っていました。すでに崩壊はしてたけど、これがバブル景気ってやつなんだなあ、とぼんやり思っていました。

1993年4月に発売されたユニコーンの「すばらしい日々」の歌詞でユニコーン解散するんじゃないか説が浮上し、ファンたちがざわついていました。最後かもしれない、UNICORN TOUR 1993 "4946" で6月の東京ベイNKホールでのコンサートに学校の友達といっしょに行くことにしました。結局その後解散を発表し、私にとっては最初で最後のユニコーンライブだったし、大ファンだったので悲しかったです。

BEAT UK

フジテレビの深夜番組でBEAT UKを録画して観ていました。洋楽のミュージックビデオをランキングで紹介しているイギリスの番組で、なぜか CHAGE & ASKA の YAH YAH TAH がオープニングに使用されていました。レニー・クラヴィッツの「Are You Gonna Go My Way」がすごくかっこよくてロックにも興味を持つようになりました。ペット・ショップ・ボーイズの「Go West」もヒットしてたり、ジャミロクワイとかエイス・オブ・ベイスなんかの新しいジャンルのミュージックビデオを観れたのですごく画期的でした。

文化祭ではじける

私の通っていた高校では、体育祭と文化祭を連続で開催するので高校最後のお祭りに気合いを入れようとして、行きつけの原宿の美容院、チャオバンビーナでソフトドレッドにしてもらいました。3時間以上かかりました。ドレッド頭と体操着に厚底のスニーカーと手作りのフリルスカートで体育祭に登場した私に学校のみんなが驚いていました。

親にも先生にもすごく怒られて、1週間後にベネゼルホームパーマでストレートに戻そうとしたけど、ぜんぜんパーマがとれなくてチリチリのへんな髪型になってしまいました。そして、高校に入学してから10kg以上も太ってしまって、制服がキツキツになってしまったので、冬頃にダブルのブレザーをむりやりシングルにカスタムして友達に笑われました。

この頃はアメ横で買ったドクターマーチンの海老茶色の3ホールを通学用に履いていて、修学旅行には原宿のDEPT STOREで買ったCLUB KINGのバンビのトレーナーを着て行きました。私服はMILKとかのラブリー系だったり、古着のベルボトムパンツだったり、どんどんめちゃくちゃな服装になっていました。原宿の文化屋雑貨店も大好きでチープな雑貨や洋服なんかをよく買いに行っていました。

1993年9月号CUTiEの小山田圭吾さんと市川実和子さんのふたりでニット特集がやばいと学校のフリッパーズ・ギターファンの間で話題になりました。CUTiEのソニア・パークさんのスタイリングがいつも素敵でした。それから、岡崎京子さんの漫画「リバーズ・エッジ」の連載がスタートして、山田くんは小山田くんに似てるな、と思っていました。

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Drugstore Cowboy

CUTiEで紹介されてたガス・ヴァン・サント監督の映画「ドラッグストア・カウボーイ」(Drugstore Cowboy 1989年アメリカ)の70年代ファッションがかっこよくて古着屋に行くようになりました。他にもフランス映画の「サム・サフィ」(SAM SUFFIT 1992年フランス)がめちゃめちゃかわいくて、じわじわとフレンチブームもきていました。元ヤンキーだった子達がギャルに移行して、ルーズソックスを履いてESPRITのトートバッグを持ち出したので、なんだか違和感を感じていました。

そして、テニス部をやめて暇だった私は学校の友達に誘われて映画部の手伝いをしました。1991年にTBS深夜に放送されていたテレビ番組「三宅裕司のえびぞり巨匠天国」以来、自主作映画が注目されてきた気がします。えび天の審査員をしていた高城剛さんはニューヨークを舞台にした松雪泰子主演のドラマ「バナナチップス・ラブ」(1991年フジテレビ深夜)を制作していて、すごく斬新な作品だな、と思っていました。

部活の映画制作では、駅前のミスタードーナツで何時間もミーティングをしたり、他の学校の人を俳優にスカウトして断られたりとか学生の域でしたが、ストロボ照明を使ってフリッパーズ・ギターの「GROOVE TUBE」みたいな映像を撮影しようとチャレンジしてみたり、遊び感覚でも楽しかったです。

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ポケットの中の君

別冊マーガレットに掲載された冬野さほさんの漫画「ポケットの中の君」を読んで衝撃を受けました。絵がおしゃれだしストーリーもかわいい!漫画に出てくる女の子の服装とか髪型を一生懸命真似していました。自分でもまだずっと漫画は描いていたけれど、学校の友達には恥ずかしくて言わずにこっそりマンガ大賞とかに投稿していました。

高校3年になり、美術の選択授業を受けていたので芸術クラスになりました。進路を考えるようになって、まわりが受験勉強をはじめる中、学科試験を受けるのが面倒なので美術大学進学はやめようと思っていました。

CUTiE読者の間では文化服装学院に通ってモッズの彼氏を作ることにみんな憧れて、私も文化服装学院に行ってモッズの彼氏とクラブに遊びに行きたい、なんて思っていたので文化服装学院の推薦入学を申し込んだら内申点が悪くて落ちてしまいました。成績も悪いし、遅刻も多く、生活態度も最悪だったのであたりまえです。通学の駅から自転車で学校に通っていたのですが、その日は遅刻してたのでそのまま学校を通り越して海まで行って、ひとりでお弁当を食べました。

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