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「未来のせかい」 はらまさかず

真夜中。
ぼくは寝る前に窓を開け、外を見た。
見なれた街の灯り。
「あれっ?」
線路の向こう側。いつものマンションの向こうに、知らないマンションが見える。
なんだか、ぼんやりと。
「新しく建ったのかな」

日曜日、ぼくは、新しいマンションを探してみた。
うちから歩いて10分ほどのところ。でも…。
そこには、何もなかった。

真夜中。
気になって、また、窓の外を見る。
すると、やはり、見慣れないマンションがある。
しかも、昨日より、はっきりと。

次の日。今度は夜に探してみたが、新しいマンションはどこにもない。

この話を友人にしたら、
「ああ、あの丘にマンションを建てる計画があるらしいよ」
といった。
「でも、まだ、建ってないんでしょう?」
ぼくがいうと、
「計画の実現性が高まってるってことかなあ」
と、友人。
そんなことってある?

未来って、こんなふうに、
今と同時にあってもいいのだろうか。
あってもいいのだとしたら…
だとしたら、いい未来を考えないと。

真夜中。ぼくは窓の向こうに、新しいマンションを見ながら、
何か、友人にも見えるような
楽しい計画をたててみようと思った。

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