「かしわもちたろう」 木村研

 今日は、おばあちゃんとおるすばんです。
 タロウくんがいいました。
 「ぼく、ぼうけんにいく」
 「ぼうけんに。大変ね」
 「うん。だから、おなかすいちゃうよ」
 そこで、おばあちゃんは、かしわもちを作ってくれました。
 タロウくんは、おいしいかしわもちを、三つたべて、ぼうけんにいく準備をしました。
 おじいちゃんが買ってくれた刀をさして、
 「おばあちゃん、懐中電灯だして」
と、いいました。
 「海中電灯?」「うん。ぼうけんだもん、暗いところだっていかなくちゃいけないんだ」
 おばあちゃんは、懐中電灯をわたして、
 「かしわもちタロウちゃん、頑張ってね」
と、いいました。
 タロウくんは、元気にあるいて、ぼうけんの旅にいきました。

 「あらあら。ぼうけん中に、お昼寝しちゃったのね」
 おばあちゃんがへやをのぞくと、たろうちゃんが、布団にもぐって、気もちよさそう眠っていました。
 ぼうけん、どこまでいったのかなあ?

 (作者のことば)
 子どもたちは、布団にもぐったり、カーテンの陰に隠れるだけで別の世界に行けます。外に行けない時に、お父さんお母さんと一緒に家の中を探検してみるのもいいですね。

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