「お話のふくろ3 われないシャボン玉」 はらまさかず
雨がふっています。
こうくんとお父さんは、ベランダでシャボン玉をしています。
「見て、お父さん、ぼくのシャボン玉、われずに屋根の上までとんでったよ」
「うん」
「すごい?」
「まあな」
「もっとびっくりしてよ」
「いや、実はな、お父さんが子どもの時に吹いたシャボン玉もずっとわれなくてな。まだ、とんでるんだ」
「どういうこと?」
「もうかれこれ40年、シャボン玉はわれずに世界をとびつづけてるんだよ」
「うそだ」
「しんじられないだろうな。お父さんだって、自分でも信じられない。たぶん、世界記録だと思う」
その時、むこうから、金色にかがやくシャボン玉が、ふわふわととんできました。
「あれが、そのシャボン玉だ。今、地球8万周目だ」
(作者のことば)
子どもと話すだけで、不思議とおかしな話が自分の中から湧いてきます。こうくんのお父さんもとうとう、「おはなしのふくろ」がなくても、お話をつくれるようになりました。
私と子どもとのお話づくりの様子は、“お話は風にのって”に掲載しています。こんなふうに家族でお話づくりをするのも、楽しいですし、いい思い出になります。