「紙の国(2)」 はらまさかず
ともちゃんとお父さんは、マンションの3階から紙ひこうきを飛ばしています。
「ともちゃん、今日は紙ひこうきの上に、小さなともちゃんとお父さんを乗せてみようよ」
「二人のりだね」
二人は、紙ひこうきにのった自分たちを想像しました。そして、空にむかって飛ばします。
二人をのせた紙ひこうきは、風にのって舞い上がり、空の向こうへ飛んでいきました。
「もう、紙の国についたかなあ」
お父さんがききます。
「ついたよ」
ともちゃんがいいました。
「だれの家についたかな」
「女の子だよ。マンションにすんでる」
「女の子はおどろいただろうなあ」
「この後ね、」
といって、ともちゃんが続きを話し、お父さんが紙に書いたのがこれです。
紙でできたマンションの窓があいています。
ともちゃんとお父さんをのせた紙ひこうきは、すーっと窓のなかへ入っていきました。なかには、紙の女の子がいました。
「こんにちは」
ともちゃんがあいさつをしました。
「わたしたち、紙ひこうきを飛ばす国からきたの」と、ともちゃん。
「すごいね、わたしペラペラじゃない人を見たのはじめて」
女の子がいいました。
「さわってみてもいいよ」
ともちゃんが、女の子にうでを出します。
「やわらかいね」
今度は、ともちゃんが女の子のうでをつまみます。
「ペラペラだね。でも、ペラペラもいいと思う」
「そうだ、紙ひこうきに三人でのろう。紙の国を案内してあげる」
女の子がいいました。
こうして、三人は、紙ひこうきにのって紙の国を旅することになりました。