「やさしくしたい」 はらまさかず
ねずみの子どもは、
一日がおわるとき、いつもがっかりします。
「ぼく、本当はもっと、みんなにやさしくしたいんだけど」
すると、お母さんは、
「だいじょうぶ。やさしくしてばかりじゃ、生きていかれないもの。
その気持ちがあればいいのよ」
「気持ちだけあっても」
お母さんは、その子をぎゅっとだきしめて、
「やさしくしたいって気持ちはね、ふわふわとんでいって、誰かの心をやさしくさせるのよ」
「ふーん」
「やさしくできないときがあってもいいよ。でも、一日のおわりには、やさしくしたいって思おうね」