因果はあるのか
「これは因果関係が気になる…」と思ってしまったのは、2004年アメリカ公開の映画『スーパーサイズ・ミー』の監督である、モーガン・スパーロック監督がおよそ20年後の今年、がんにより逝去したことからだ。
『スーパーサイズ・ミー』は公開当時も実在のメガハンバーガーチェーンを名指しというか指名していたこともあって、日本でもけっこう話題になった。
今回気になって改めて鑑賞してみたのだが、実験自体がキモのストーリーなので、映像自体はチープで編集もダレちゃったりして観るのにところどころ飽きちゃったりもするんだけど、いやーセンセーション。そう感じるのは私自身がつい数ヶ月前までここまでヘビーではなかったにしろ、かなりファーストフードを平気で口にしていたから。人生でもっともfastfood addictな期間を過ごしていた。
◇◇◇
終盤、監督はドクターストップがかかるほど深刻な体調異変があったりするのだが、驚いたのは当時のアメリカ社会で学校給食もほとんどファストフードに依存していて、栄養バランスとか野菜とかそういった視点が皆無であったこと。子どもという身体をつくっていく大事な時期に、学校給食がピザやポテトばかりであった衝撃。給仕しているスタッフたちも雇われでもあるからか、監督につっこまれても言い訳ばかりしている。単純に体の健康状態だけでなく、脳や思考、情緒の観点でも危険きわまりない映像だと思った。
20年前のアメリカではあるが、ファストフードのもっぱらの顧客は主に貧困家庭である(監督の言葉より)という。これは現代日本でも少ないお金で食事を買うとしたらいまや高級品になってしまった果物や野菜より、はるかに安価で満腹感もあるファストフードを選ぶ人や家庭は多いと何かの調査で見た。質の高い教育と質の高い食事は相関があるのかもしれない。
実験中の監督を見ていて思いあたることはいくつかあって、ファストフードをしょっちゅう食べていると高揚感がおとずれるということ。また、満腹感がぼやけていくらでも欲しくなってしまうということ。さらに躁鬱っぽくなっていくということ。脂質と糖質が暴走しているだけでなく、(ーーーー根拠がないので自己規制ーーーー)なのかもしれない。
◇◇◇
冒頭に話を戻すと、監督は今年5月にがんの合併症で命を落としたとさまざまなメディアで報じられているが、なんのがんだったのかは詳しく出ていなくて不明なまま。当時の実験後には解毒に努めて脂肪肝も治癒したようだけど、影響があったのかなかったのかも不明。