特別な12月を迎えにいく
12月がやってきた。それなのでいそいそと花を買いに行く。普段は何かの買い物のついでや、仕事帰りにふらっと花を買うことはあっても、「季節にふさわしい花を求める」ということを第一義にすることはないわたしであるのに。
最近わかったことなのだけど、某フラワーショップのチェーン店に行けばよい。センスよくアレンジされたその時期おすすめの植物をそのまま買えば見栄えがするのだ。充分にぬくもったあたたかな部屋から外へ出るのに、「花を買う」という動機だけだと途端におっくうさを感じなくもないが、12月という新しくも年の最後を飾る月の到来が、珍しくわたしのフットワークを軽くした。
フィッシャーマン編みの、手持ちでもっとも温かいセーターの上にグレーのチェスターコートを羽織って意気揚々と外へ出る。休日ゆえに、洗いざらしのままの髪がさらさらと風に揺れるのも新鮮でよい。セーターにジーンズという、ウィークデーにはほぼ登板することのない組み合わせも「今日は休日なのだ」と実感がわいてくる。
そんなふうにして街を歩く。花を買いに向かう。わたしの12月を彩る花を探しに。
けれど店には、まだシーズナリーにアレンジされた花がなかったので、まずはホリデーシーズン前哨戦として自分なりに選んだ花を持ち帰る。今年はシュトーレンを買って、イブまで大事にいただいてみるのもいいかもしれない。だって12月は、特別なのだから。
でも「特別」は、「特別扱い」しないと特別にはならないので要注意です。