I'm a legal alien.
先週の土日、とても久しぶりに都心のホテルにこもって集中して仕事に取り組んだ。…と書くとなんとも聞こえがよいものだが、実際のところは平日に気乗りせず、ダラダラと着手をしなかった資料作成が締め切り期日となり、これはもう環境として集中せざるを得ない状況に追い込まないと終われないな、という理由からのものだ。要するに計画性のなさのツケである。
私はこういう行動様式を昔からもっており、「どうにもならなくなったら自主的にホテルに缶詰めになる」、そうすれば片づけられる、という経験則からなる強い思い込みがあるのだった。実際そうやって乗り切ってきたが、さらにそのホテルステイにも変容が現れるようになった。
たとえば最初のころは、ちょっといいシティホテルをとった。けれどそうするとホテルステイを満喫しようとしてしまったりするので結局集中できない、という事態を経てからは、ビジネスホテル一択になった。これもまた変遷をたどっていて、かつては利便性の高いエリア、もしくは行動導線上のエリアにあるホテルを使用していたのだが、最新は違う。
とにかく週末に人が減るエリア、観光客がいない、あるいは少ないエリアを選ぶこと。もしかしたらこれが一番重要かもしれない。安いビジネスホテルは安普請なので声がうるさいし、集団に出くわすとなんだか居心地も安定しない(観光で自分は宿泊しているのではないため)。それでここ数年、気に入っているのが国会議事堂周辺エリアだ。間違いなく人が少ないうえで警備員があちこちにいるので治安もよい。何よりホテル内が静かである。
今回コロナ禍を挟んで実に久しぶりに、かつてよく滞在していたホテルに2泊の予約をした。とにかくその仕事をやりたくなくて、チェックインも遅ければ開始したのもかなり遅くなったが、夕飯に街に出るとあまりの静けさに驚いた。いつも乗る電車も、ふだんもよく来るエリアであっても、エアポケットのように人がいない。あまりに非日常すぎて、脳内にスティングの「Englishman in NewYork」が鳴り響いた。歩きながら自分がまるで異邦人のように思われたのだ。なんという不思議、なんという非日常感。
これは単純に英国人が文化の異なるNYにいる歌ではないので、気になる方はいろいろ調べていただくとして、特に心情にぴたっときたのが「I'm a legal alien」というフシである。なんとうまいこと表現したものだろう!
部屋から見える国会議事堂は、いかにも美しい建築物で見る時間ごとに表情が違って飽きない。その静謐なたたずまいにずいぶん励まされて徹夜も含み土日で目標の仕事を終えることができた。
余談だけど途中なんども、割と早期のタイミングに近いほど、あまりの進まなさに恐怖するのだが、あまりにもこうした修羅場を乗り越えすぎていて、実質何も進んでいなくても「でも、絶対に私は終わらせられるんだよね」と心から信じているのがこわかった。まじかよ、と突っ込みたくなる。
けれど、日曜の23時あたりには「ああもうゴールが切れるな」と確信を持つに至り、本当に着手さえすれば終わるんだよな。なぜもこう、着手がいやなのか…