同居はつらいよ
なにが正解なのかわからないのだが、いや、正解を自分なりに見つけていくしかないんだな。自問自答する前に回答が出てしまった感。
母との突然の同居生活はちょうど半年になる。理由となった原因が落ち着かない時期は、母の身の危険があってあまり家を空けたくなかったのと、母本人が私がいないと夕飯を一人で先に食べてくれないので、仕事が終わると飛んで帰るようになった。
半年が経過すると、母の身の危険問題がおおむね緩和されてきたのと、それまでそのことがもっとも危惧されていたために他のことを考える余力がなかったために、目線をずらし続けてきた問題がいろいろと身に迫るようになった。要するに、長年のひとり暮らし生活の人間が他人と暮らせるのか?問題である。
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私は20代のころから、平日あまりにも「はじめまして」の人と会話をしないとならない仕事であるために、週末は完全に一人になってリセットしないと自己を保てない傾向がある。自分自身の考えではなく、会社の考えを話し続ける、PRし続けるためにいったん自己を取り戻さないと「これは誰の人生の話なんだ?」と精神が混乱するためだ。非常に不器用な人間が、まるでものすごい器用な人間のように擬態して生きているツケを週末に払うのだ。
それが、母と同居するようになって思うようにできないことでストレスが爆発しそうになっている。母はもともとの性質で、目についたことをすべて口に出して人に聞かせないと堪えられないようなとこがある。スマホになにかのニュースが通知されてきたり、テレビをつけて知ったニュースを私にも知らせたいが、あえて「聞いて」とせずに独り言の体裁をとって口にするのだ。たとえば「え!大谷がまた打ったんだ!すごいなぁ、あ!●●でまた線状降水帯が発生したんだ~。あんなになっちゃってかわいそう」みたいに、延々とひとりでしゃべり続ける。正直私が聞いていようがいまいが関係ないんだろうと思っていたが、どうも暗黙に「耳に入る。聞いている」という状況は必要らしい。要するに聞かせるために独り言を言うのだ。
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これが平日は自分のテンションも「他者のために生きる」モードで走っているのでなんとかなる。相手をしたり無視したりしながら。けれど、週末、とにかく人と話したくなければ接することすら本来はいやなのに同じ部屋にいることを余儀なくされているときには様相が違う。
「あのさ、脳内がすべて漏れてますよ」と言ってみた。さすがに「うるさいから少し黙ってろ」とはいくらなんでも言えないからだ。すると予想外の答えが返ってきたのだ!
「だってあえて口に出してるんだもの」。と。そうか、やはり脳内のことを口に意思をもってしているのか。。うるさいことこのうえない。
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そんなわけで申し訳ないが金曜の夜の解放感でテンション高く夜を過ごした翌日、布団から出てこずに眠り続けるかなにかをずっと黙して読み、食事すらとらない私を母はおそらく困惑しながらおびえるように接していると思う。まるで躁鬱病患者のような落差の娘に、どう接していいかわからないのだ。
私としたら「どうも接しないでほしい」のだが、あれこれを食事の世話をやこうとしたり、私がほんのちょっと目が覚めてONモードなんだ!と思うや否や、例の脳内に浮かんだことを大声で聴かせてくる。
「さみしいだろうな、私しか生活に関わる人間がいないんだから」とか、「こんな便利なとこに住んでるんだから、一人でおちゃのみにいったりしていいのに、なんか気詰まりなんだろうな」とはもちろん思う。けれど私とてどうしたらいいのだと思うし、むっつり不機嫌な感じで共に過ごしたくない。嗚呼。
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このことは単純にいうと2つの大きな課題がある。
ひとつには、長年ひとりで暮らしてきた人間が突然他人と暮らすことになったうえでの価値観問題。肉親であろうと自分以外はこの場合、他人だ。また、母には母の、自宅を切り盛りしてきた立場ゆえの価値観と習慣があり、それが私の家になった場合に、私のやり方と違う点は同じく彼女のストレスになっていると思う。
もうひとつが、私の性質問題だ。高校生のころからして、親が「子ども部屋を与えるとすぐこもってしまうことになる」と新築する際に悲しみを漏らしていたことが忘れられずに、「用はないしはよ部屋にいきたいがかわいそうだから21時まではリビングにいよう」と、姉も妹もさっさと各部屋に引き上げてもそのようにしてしまう性質。土日も「大きくなると友だちばかりと会って家にいなくなる」とこぼすのを聞いて育ったものだから、哀れんで土日に遊ぶ約束をほとんどしないようにしていた。
この面倒な性質は現在も炸裂しているので、母がひとりでごはんを食べるのを嫌がるから平日に予定をなるべく入れられないし、休日も一人にすることがためらわれて、「一緒にいく?」と誘って共に過ごしたり、ひとりの時間をつまくつくることができない。
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母のことが大好きだったし、幸せにしてあげたいと心から思っているのに、今の私ときたら「面倒くさい」「ひとりになりたい」というのが本音だったりする。なんて悪い奴だろう。とまた自己嫌悪のループを爆走中である。
とくに三連休は険悪になりがちなので、そうなるよりはと外に出てきている。本当なら今日あたり、どこかでワインなど飲みながら時間を気にせず本など読んで夜の空気を堪能したいところだが、やはりそうもいかない。
目下このストレスを、否、互いの人生を経てのいまの同居生活に最適化していくことが私の一大事であって問題なのである。
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