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初心者のフェルメール鑑賞《牛乳を注ぐ女》
こんにちは 美術鑑賞が趣味の蓬田(よもぎた)でございます!
今回は、フェルメールの《牛乳を注ぐ女》(1658年~1660年頃)についてです。この作品です↓↓↓
フェルメールの作品、いいですよね!
ただ、この作品については、わたくしはずっと意味がよく理解できませんでした。
この作品について、わたくしと同じようにモヤモヤしている方がいらっしゃいましたら、鑑賞のご参考になれば幸いです!
使用人女性がどうして主役?!
描かれているは、家事を担当する使用人です。メイドさんです。
わたくしの疑問は、どうしてメイドさんが主役として描かれたのかな??ということでした。
フェルメール以外でも、作品にメイドさんが描かれることは多いですけれど、わたくしの印象は脇役でした。
このメイドさん、下を向いていますが、よく顔をみるときれいな女性にも見えます。
でも、容姿はふくよかで、着ている服は地味で、全体の印象は質素です。全体的に“美しい”感じではないですよね。
フェルメールは、こういう姿のメイドさんを描いて、何を表現したのだろう?!
作品にどのような意味を込めたのだろう?!
疑問はそれでした。
メイドは性交渉をイメージ!?
自分なりに勉強してみて知ったのですが、メイドさんは「性交渉」をイメージさせるモチーフでした。
男を誘惑し、雇われている家庭の名誉を傷つける存在として描かれたケースが多いようです。
メイドを露骨にそのように描いた作品もありました。下の作品がそうです。ヘラルト・ダウの《玉ねぎをきざむ少女》です。
1646年頃の作品です。
刻んでいる玉ねぎは、当時のオランダでは「媚薬」でした。
こちらを向く少女の視線はおもわせぶりです。
足もとの「足温器」に注目!
でも、フェルメールの《牛乳を注ぐ女》は質素な感じで、上の作品のように、男を誘惑するような雰囲気は伺えません。
それでも、性交渉を象徴するような小道具が描き込まれていました。
画面右下の床に置いてある立方体のような器具です。これは「足温器」です。
足温器は、女性の性的な興奮を象徴しているのだといいます。
フェルメールは、一見純朴そうに見えるこのメイドさんも、心の奥では性的な興奮を望んでいることを描きたかったのでしょうか?!
そういう目でこの絵を見ると、大きな口の水差しは女性の肉体の象徴のようでありますし、流れ落ちるミルクも何かの象徴に見えなくもありません。
雇い主の奥さんを称える作品
それとは別に、フェルメールが本当に描いたのは、この家の奥さんの素晴らしさという説があります。
メイドを指揮するのは、この家の奥さんです。
このメイドさんは硬くなったパンにミルクを注ぎ、パンプディングのような料理を作っているようです。
食材を無駄にせず家事を行うメイドを指揮している奥様の素晴らしさこそ、フェルメールの描きたかったのだといいます。
勇気を持って自分なりの「謎解き」を楽しむ!
如何でしたでしょうか。
絵画鑑賞は、作品を見たときに「素晴らしい!!」「圧倒される!」などと、感性が動かされる素晴らしさがあります。
一方で、作品に隠された「謎」を丁寧に解いていく楽しみもあります。
美術研究者や学芸員さんの専門知識も必要に応じて活かしながら、自分なりの「謎解き」が楽しめるのは、美術鑑賞の醍醐味だと思っております!
ご一緒にアート鑑賞を深めて参りましょう。みなさまのアート鑑賞が、ますます豊かになることを祈っております!
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