初心者の西洋美術 新約聖書(1) 「受胎告知」
こんにちは 美術鑑賞が趣味の蓬田(よもぎた)でございます。
美術展で西洋絵画を見たとき、「聖書の内容が多少は知ってないと、鑑賞が難しいなあ」と感じました。
そこで、西洋絵画に描かれることが多い聖書のエピソードを、わたしの絵画鑑賞の体験から、いくつかご紹介したいと思います。
まずは「新約聖書」の超有名なエピソードを、今回からいくつかお伝えします。
今回は「受胎告知」です。
みなさまの絵画鑑賞の参考になれば幸いです。
聖霊による妊娠
マリアは、ヨセフと結婚することになっていました。結婚準備を進めていたある日、大天使ガブリエルが、マリアのもとに現れます。
ガブリエルは、マリアは間もなく聖霊によって身ごもり、男の子を産むことを告げます。
マリアはまだ処女でした。そんな自分が子を産むことは理解できず、戸惑います。
ガブリエルは、身ごもる子はのちに神の子と呼ばれるようになること、そしてイエスと名付けるように言います。
マリアは信仰深い女性であったので、自分の信仰が神に受け入れられたことを悟ります。
そして、マリヤは妊娠し、処女のままイエスを産みました。
ダヴィンチの《受胎告知》
大天使ガブリエルがマリアに、聖霊によってイエスの妊娠を告げる出来事のことを「受胎告知(じゅたいこくち)」といいます。
マリアはイエスを生んだ「聖母」として、信仰が高まっていくにつれ、数多くの「受胎告知」の場面が描かれました。
上の絵は、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた《受胎告知》です。ウフィツィ美術館収蔵。
ほかの画家が描いた部分も入っているようですが、レオナルド・ダ・ヴィンチの事実上のデビュー作と考えられています。
左側に大天使ガブリエル、右側がマリアです。受胎告知を描いた作品は多数ありますが、左にガブリエル、右にマリアという構図は、ほとんどの作品に共通です。
ガブリエルの右手は、人差し指と中指を立ててVサインのような形を作っています。これは、マリアへの祝福を表していると言われています。
左手が持っている白百合は、マリアの純潔の象徴です。
マリアは、青色のローブをまとっています。青色のローブは、純潔や信仰を表しています。
その下に着ている赤い服は、天の愛情の表現です。
右手は書物のページに指を挟んでいます。この書物は旧約聖書で、指を挟んでいる箇所は、旧約聖書の中の「イザヤ書」です。
預言者イザヤが、「乙女が身ごもり、男の子を生み その子はインマヌエルと呼ばれる」と預言した部分だと解釈されています。「インマヌエル」とは、「神はわれらとともに」という意味です。
左手は、告知を受けて、驚きを表しているかのようなしぐさにも見えます。
エル・グレコ《受胎告知》
こちらは、プラド美術館所蔵のエル・グレコによる《受胎告知》です。
ほかの多くの「受胎告知」の絵とは違って、ガブリエルは右側に、マリアは左側に配置されています。
マリアは聖書を手に持ち、右手は胸にあてて、ガブリエルの告知に驚いています。
画面上部では、天使たちが祝福しています。
※画像はWikipediaより引用しました。