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地球の裏側とも言える場所

先日から投稿してきた人形劇について、
新たに第4シリーズを以下、記載したいと思います。


本作は、

オープニング
   ↓
メインキャラ4人のコーナー
   ↓
エンディング

という形で、1つの回を構成していく前提で考えています。


今回は、メインキャラ4人のコーナーの3つ目、
「さばみそ博士の『Best Hit DHA』」をお送りします。




<人形劇 登場人物>


・もんじゃ姫

 →本作の主人公。
  頭の上にもんじゃ焼きが乗った、ぼんやりしてて空想好きな女の子。


・さばみそ博士

 →頭の上にさばの味噌煮が乗った、
  語りたがりで、ついウィットに富んだことを言おうとする男の子。


・ハバネロ姉さん

 →メインキャラで唯一の突っ込み役。唐辛子の髪飾りを着けていて、
  ピリッとした性格で、行動的な姉御肌。


・ブルーハワイ兄貴

 →頭の上にブルーハワイのかき氷が乗った、
  きれいなお姉さんが大好きな、能天気で自由な大柄の兄ちゃん。



~さばみそ博士の「Best Hit DHA」~



「あれっ、…私のケーキは!?」





喫茶店でガバッと目を覚ましたもんじゃ姫の目の前には、


すっかり湯気を立てるのを辞めてしまった、


元ホットの紅茶が置かれているのみ。


彼女の注文したケーキ3皿は、それぞれ残り3人に分配され、


ミントの葉一枚残らず、全てきれいに完食されていた。





もん「ひどーい、私がちょっとウトウトしていた隙に!」


姉さん「どこがちょっとだ、熟睡してただろうが」


博士「寝起きでケーキ3つは、さすがに姫に負担がかかると思いまして…」


兄貴「どれも味見した結果、甲乙付け難しだったな」


もん「3人ともズルいっ」





食欲旺盛、睡眠欲はもっと旺盛なわがまま姫の為に、


再度、店員さんがメニューを持って来てくれた。


兄貴「ケーキにろうそくも立てるか」


もん「えっ、何で?」


姉さん「でも、このサイズのケーキに125本刺せるか?」


博士「いやしかし、そこは旦那様の誕生日ケーキですから…」






さっきまで見ていた、ちょっと恥ずかしい夢の話を急にされて、


みるみる耳まで赤くなってしまうもんじゃ姫。


もん「ひ、…人様の夢は、覗き見禁止ですっ!!」


姉さん「覗かねぇよ、わざわざそんなもん」


兄貴「喫茶店で、寝言を何十分も聞かされるのはこっちの方だぜ」


博士「旦那様にも是非、よろしくお伝えください」


もん「やかましいですっ!


   あと、ろうそくもそんなにたくさん大丈夫ですっ!」






結局、店員に新たにオーダーしたケーキ3皿は、先程とは全く別の3皿。


「我々が食べさせられたのは何だったんだ」と言う姉さんをよそに、


ケーキ3種と暖かい紅茶を前にして、すっかりルンルン気分のもんじゃ姫。






姉さん「今日の映画は、博士が紹介してくれた小説と同じ、


    垣谷美雨先生の原作だったけど、せっかくの読書の秋だし、


    また何かオススメの一冊があれば、教えてもらおうかな」


もん「博士の紹介はハズレが無いからねぇ~」


兄貴「俺も、オススメのビデオだったら無限に紹介できるんだけどな」


姉さん「それは結構です」





バッグから、本を2冊取り出した博士。


博士「今、読んでいて面白いと思っているのが、


   ヤチナツさんの『20時過ぎの報告会』というマンガですね」


もん「へぇー、何か女子会みたいな感じ?」


姉さん「なかなか、表紙からして目を引くな」


兄貴「"20時過ぎ"っていうのが、ちょっと何ともエッチだねぇ」


博士「そうですね。1巻と2巻が出ているんですが、


   若い女子同士のディープな女子会と言うこともあって、


   そういった話が苦手な方は、2巻のみ読まれると良いかと思います」


姉さん「1巻の方が結構、刺激が強い系か」


目の前のケーキ3皿を、1口ずつ味見した後、


満足そうな表情で暖かい紅茶に口を付けるもんじゃ姫。





もん「女子の私がこんなこと言うのは、不勉強で申し訳ないんだけど…


   "女子会"って、いつどこで開かれてるんですか?」


兄貴「もんじゃはこの年まで、雪山で冬眠してたもんな」


もん「私は、ヒグマじゃないっ!」


姉さん「まぁでも何か、午後の喫茶店とか、夜のお洒落なバーとか、


    居酒屋とか焼肉屋とか、どこでもやってんじゃないの」


博士「お2人は、そういった女子会に参加されたことは?」


もん「ちょっと前に、おにぎり屋の女社長に、


   お茶に誘ってもらったことはあるけど…」


姉さん「それは女子会っていうか、スカウトだろ」


兄貴「結局、そこのおにぎり屋は、もんじゃが店頭のおにぎりを


   全部食べて、社長にクビにされたんだよな」


もん「私が食べたんじゃないもん!


  お腹を空かせた人達に試食で配る量を、ちょっと間違えただけですっ」




ある日の夕方、同級生に弁当を食べられてしまった少年が、


勤め先の弁当屋に来て、お腹の音を鳴らせていた時の様子が、


もんじゃ姫の頭の中で昨日のことのように鮮明に映し出された。





博士「姉さんはいかがでしょうか」


姉さん「私はそもそも、あんまり同性で群れたりしないからな」


兄貴「姉さんがつるんでたのは大体、反〇の人達だから」


姉さん「誰が反〇と友達だ、コラッ!」


淹れたての紅茶よりも熱いボディーブローが、


鳩尾を的確に捉え、思わず「ひでぶっ」と声が出る兄貴。





博士「女性のお2人ですら、女子会にあまり馴染みが無いのですから、


   男性である我々には、もはやはるか遠くの別世界にも思えます」


もん「どういう話を女性達がしてるのか、私も聞いてみたいかも」


博士「話されているテーマは本当に多岐に渡りますが、


   これを読んで改めて痛感させられたのは、


   "男性は到底、女性には敵わない"ということでしたね」


兄貴「…やっぱ、女にゃ敵わねぇよな」


姉さん「お前ごときが敵う相手なんていねぇよ」


熱々に焼けたような鳩尾を、今もさすっている兄貴。





もん「どんな所が敵わないって思ったの?」


博士「この作品にメインで登場する3人の女性達の何が凄いと言ったら、


   それはずばり"インプット"と"アウトプット"の両輪が、


   絶えず回転し続けていることだと言えます」


もん「インプットと、アウトプット…?」


どちらも普段行っていない女性が、口をもぐもぐさせながら首を傾げる。






博士「魅力的な女性達だけに、恋愛や他様々な経験も豊富な上、


   身の回りのちょっとした変化も敏感に感じ取られていて、


   そうした日頃のインプットを、女子会で集まって話す。


   各自がアウトプットし、聞く側はそれをインプットするという、


   まさにインプットとアウトプットの両輪が、


   常にグルグル回り続けているんです」


兄貴「時々、カフェとかで女子会やってる人達見るけど、


   もう話題が尽きる気配も無い位、延々と喋り続けてるよな」


もん「そんなにお話することが、いっぱいあるんだね」


博士「行動して経験したインプットを、女子会でアウトプット。


   そこで聞いた情報をインプットして、その後の行動にアウトプット。


   この回転が絶えず繰り返されることで、


   彼女達は自らの人生経験を、凄い勢いで蓄積させているので、


   男性から薄っぺらなことを言われると、内心"は?"となる訳です」


兄貴「俺も、そう言われないように気を付けよ」


姉さん「もう遅ぇよ」


バカみたいな顔をして、グラスの氷をバリバリと嚙み砕く兄貴。





博士「作品の中で、色んなユニークな造語が飛び出すのも特徴ですし、


   メンヘラ女子や、オネェ系、天然な男子など、実に多種多様な


   色んな方々と酒を酌み交わす、彼女達の懐の深さもまた見所ですね」


兄貴「世の中、本当変わった人もいるからなぁ」


姉さん「お前に言われたかねぇよ」


博士「そうした人達とも、当たり障りの無い社交辞令ではなくて、


   ちゃんと腰を据えて話し込める所が、彼女達の凄さとも思えます」


もん「人と話すこと自体、本当に好きな人達なんだろうね」


兄貴「食っちゃ寝して、夢ばっか見てる女子とは大違いだな」


もん「寝てばっかりじゃないもん!ちゃんとお話してるでしょ!」


姉さん「まぁ、聞く所によると"女のネットワーク"って凄いらしいからな。


    私も後学の為に、1巻・2巻それぞれ読んで勉強してみるか」


兄貴「堅気の世界のことも、是非勉強されると良いですよ」


姉さん「誰がヤ〇ザじゃ、ワレコラッ!」





知られざる女子会の世界。


4人にとっては、地球の裏側とも言える場所で、


年頃の女子達は果たして、どんなことを語り合っているのか。


ケーキを何個食べたとて、彼らの知りたい欲は留まる所を知らない…





~さばみそ博士の「Best Hit DHA」 終わり~

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yomogida4
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