よもぎと小さな友だち 1
君は覚えていてくれるだろうか。
光に守られた塔の底で、ぼくらは友だちになったんだ。
¹
暗くて長い通路を抜けると、そこは星空と温かい雲に囲まれている、誰かが残した砂漠だった。
²
散策していると、鳥に囲まれキラキラ光る透きとおったバラに出会った。
「どうか、あたくしのお友だちに会ってくださらない?」
今にも砕けてしまいそうなバラにそう言われて、ぼくはバラの友だちを探すことにした。
³
これがぼくと君との出会い。
君はガラスで出来た小さな鈴の音、だけどどこにいたって君だと分かる、そんな声をしていた。
⁴
「そうだ、きみもあれを見るべきだよ」
君とぼくは手を繋いで、小高い丘を駆け上がる。
⁵
丘のてっぺん。星月夜を二人で眺めたんだ。
そうして君は
その時のぼくには、無数の星たちがキラキラしているのが見えるだけ。
君はどう聞こえていたのかな。
⁶
そして君は立ち上がって、ぼくの自慢の頭をポフポフと撫でてくれた。
⁷
君が始めっから優しいのは、
きっとどこかで傷ついていたからなんだね。