原田マハさんの「奇跡の人」、面白かった。 最初、岩倉具視とか、伊藤博文とか実在の名前が出てくるし、重要無形文化財制度制定の話も出てくるから、日本にもヘレン ケラーと同じ三重苦の人がいて、その実在の話かなと思ってた。 先生の名前が去場安(さりばあん)、三重苦の生徒の名前が介良れん(けられん)とわかった瞬間に、やっぱりヘレン ケラーの話なんかぁーい。とツッコんでしまった。 でも、話の大筋が分かっても、途中でやめられなかった。オリジナルには出てこない、キワという盲目の少女が本作のス
強い女性が主人公の物語は面白い。 才色兼備で、清廉潔白で、豪胆無比な日本初の女性総理大臣。総理大臣になることが目的ではなく、日本の未来を救うという目的のために総理大臣になる。素晴らしい。かくあるべき。 もう一人の主人公の総理の夫。前半の政敵に隙を見せてしまう無自覚ぶりにはイライラした。 まっ、私も同じ立場だったら、同じようなことになるんだろうなぁ。 「本日は、お日柄もよく」の久遠久美さんが、伝説のスピーチライターとして一役買っていたという件は、原田マハさんファンとしては
「死なないで、ね・・・・・どうか、生きてください・・・・・」亡くなる2週間前、樹木希林さんは病室の窓の外に向かって繰り返していたそうです。 それを見た娘の内田也哉子さんは、お母さんがおかしくなってしまったと思ったそうです。 その日は9月1日。一年の中で一番(ダントツ)子供の自殺が多い日。それを知っていた樹木希林さんは、命がもったいないと一生懸命祈っていたそうです。 本書は、生前の樹木希林さんのインタビューと内田也哉子さんと4人のかたとの対談が綴られています。 特に不登
工場側の地球星人である小生には、まことに衝撃の作品。 最初は、母親の愛が足りない少年少女(従兄弟同士)の妄想から始まる人間形成の物語だろうと、高を括っておりました。(少年少女を人間として形成させるなんて、正しく地球星人の発想。) 奈月と由宇のように、小生も従姉妹が多く、お盆の田舎での過ごし方にも、共感とノスタルジーを感じた次第だったので。あんな一線を超えるような出来事が起こるなんて。。。 奈月の夫の智臣も含めた三人は、ポハピンポボピア星人でした。(何度読んでも覚えられな
ときどき、神話とか宗教の本に興味をそそられることがある。 本書もそんな軽い気持ちで手にした本。 全部は覚えきれないけど、面白かった件をいくつか。 キリストの磔 ユダヤ教は、イエスを偽メシアの一人として、磔にした。キリスト教では、イエスが磔にされたことで、アダムとイヴの原罪が贖われたと考える。 エヴァンゲリオン イエスの生涯と言葉を記したもは「福音書」と呼ばれる。「福音」は英語でゴスペル、ギリシア語のエウアンゲリオンに由来する言葉で、「いい知らせ」を意味する。 ロンギヌスの槍
ギャンブル依存症のゴウちゃん。 現金を持つと、すぐに麻雀や競馬で溶かしちゃうダメな父親。 友達にも借金しまくってて、それを返すのは家族で。 家族にとっては悩みの種。ってか悩みの大木。それさえ無ければ家族は幸せになれるのに。それがあるから幸せになりきれない。 でも、側から見ると憎めないキャラクター。憎めないから、友達はお金を貸しちゃうのです。志村けんさんのイメージがしっくり。 ゴウちゃんは、ひょんなことから好きな映画の評論をブログに書くことになります。人差し指だけでポチポチ
5歳のとき、家族で海に行った。 母親から、「どこか行きたいとこない?」ってきかれて、食い気味に「うみー!」即答。 記憶では、7月に入ってすぐくらい。当日は、曇り。ってか小雨。鹿児島でもさすがに寒かった。 海にはウチの家族だけ。水着を着てるのは僕と、2コ上の兄貴だけ。 でも、ギャアギャア言いながら波に立ち向かったり、人型に砂に埋められたり。 真紫の唇で、僕と兄貴は父親のカメラに向かってマンキンの笑顔。 僕は生まれつき体が弱く、父親と母親はいつも僕の体調に気を配ってい
三浦しをんさんの「舟を編む」が大好きで、大好きな辻村深月さんの帯を見て、あらすじを読まずに文庫本を即買い。 読み始めるとすぐ違和感。女子高生なのになんでLINEじゃないの? すると「日出処の天子」だの「怪人21面相」だの、50歳の私の記憶にギリ残る古臭いワード。 なんだ、昔の女子高生の話か。 読み進めると、「おいおい、まさか手紙のやりとりだけで話を最後まで進めるつもりー!?」 結局、そうだった。 ののとはなの二人の心情がゆっくり描かれてるなぁと思ったら、急に、ビックリ
「東京バンドワゴン」が好き。 登場人物がいちいち魅力的で。 一作目からの登場人物は成長し続け、新たな登場人物も絶賛増殖中。(ちょっと覚えきれない) 本作も、「東京バンドワゴン」みたいにずっと続いて欲しい。 だって、店長の五人兄弟のうち三人しか出できてないし、店長の実家も気になるし。恒星、小関、美冬の関係性の進展も見届けたい。 町田その子さんも、続編を考えてらしい記事を読み、今から楽しみ。
都会から来た母と息子が、田舎の人々の優しさで生活を立て直し、大団円。 みたいな始まり。 でも本質の問題は何にも解決してなくて、好転の兆しすら見えなくて、正しく逃げるだけ。 解決に向けて訪れた仙台で、母親が体調を崩して、解決どころの話ではなくなる。 青空どころか真っ暗。 そんな中、出会った谷川ヨシノ。 その名前が目に入った瞬間、「おおぉー!」感動にも似た感覚と、「もう安心」と安堵感。 辻村深月さんファンにはうれしい演出。 辻村深月さんならではのミステリーとどん
「5分で読めて、感動する。」という類のキャッチフレーズの書店のポップ。いざ、読んでみると、短い文章の中で無理に感動させたり驚かせるために、奇を衒いすぎていて、読後に「はぁ?」が頭から消えない作品が多い。 「あなたは、誰かの大切な人」は、読後に広がりを感じる。登場人物がその後、「ああなったのかな?」とか、「こうなって欲しいな。」とか、読者の頭の中で物語が続いていく。 「短編で読みやすいですよー」みたいな、読者をとにかく店内に引き込む大安売りのスーパーみたいな作品と違って、本作は
町田そのこさん。また一人、好きな作家さんが出来てしまった。 有川浩さん、恩田陸さん、瀬尾まいこさん、辻村深月さん、原田マハさん。 50歳のオジサンが、好きな作家さんが女性ばかりって、どうなんだろう? 自己分析するに、女性作家さんが描く男の登場人物がカッコいい!と思う。 本作のりゅうちゃん、哲太、芙美さん、重史、宇崎くん。みんな魅力的でカッコいい男(おんこも含む) 本作は、カッコイイ登場人物が、それぞれの短編の中に配置されていて、その短編の物語が少しずつ重なりあう構成
「お客様は神様です。」的な、顧客のクレームから会社が成長する物語。なら途中で読むのをやめるかもしれないと思ってた。 萩原浩ワールドは、期待通り、そんなんじゃなかった。良かった。 クレームという名の脅迫への対処は、推理小説のようでもあり、爽快だったなぁ。 終盤の会社に対する糾弾は、半沢直樹を彷彿とさせた。調べてみたら、半沢直樹シリーズの約2年前の作品で、ビックリ。 タイトルを含めた全ての伏線が回収されて、とてもスッキリとして読み終えた。はぁ〜スッキリ。 企業にとって、
無慈悲なバッドエンド。 しかし、そのバッドエンドを小説の中だけの出来事と、割り切れない。 むしろ、我々の世界もそうなるのでは、もしかして、もうそうなっているのでは。 それを回避する答えを私は持たない。作者も持っていないのでは。この世界の誰も持っていないのでは。 誰でも加害者にも被害者にもなり得る社会。 作者は、物語のなかで、物理的運動と表現していたが、星が公転と自転を続けるように、破滅な社会に突き進んでいく人間の性は、物理的に決まっていて、だれにも変えられないのでは
曹鉄と櫻嵐の娘、翠嵐を中心としたストーリー。後日談にしては読み応えがあり、まさに真の完結編。 翠嵐がとても魅力的なキャラクターで、もっと翠嵐のその後のストーリーを読みたくなった。 でも、やっぱり天青。期待通りに成長していて、爽快な活躍をしてくれた。 物語の根底にある、身分制度。藍昌王、鶏冠ともに、身分制度の廃止を目指しているが、その世界までは描かれなかった。 現在の日本には麗虎国のような身分制度は無い。しかし、スクールカーストやパワハラなど、自然発生的に上下の差を作ろうとする
ポプラ社の企画には間に合わなかったけれど。。。 息子が部活を辞めた。小5から始めたサッカーを高1の2月に。 息子は双子の弟で、双子の兄は同じ高校でサッカー部をつづけている。 私は辞めて欲しくなかった。部活での仲間は一生の財産になるとか、進学就職に有利になるとか、好きなものを買ってやるとか、なりふり構わず説得した。 息子の気持ちは変わらず、辞める理由もハッキリ分からなかった。 部活の仲間とは良好な関係の子が多く、今でも部活に戻るように説得してくれる子もいる。 かがみの孤城を読