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金木犀と秋の思い出

やっと金木犀の香りが街にやってきた。

昔大学院の授業で、香りと記憶についてある先生が語っていた。
私にとって金木犀は、きゅっと胸を締め付けられるような恋の思い出の中に引き戻すスイッチ。

多分いろんなことがこの時期にあったからで、少しずつ気温が下がって、自分自身に焦点を当てるように無意識になっていたのかもしれない。

好きな人ができたと別れを告げられたり、付き合いたいと告白されたり、デートしたり、キュンとすることがあったり、喧嘩したり、疎遠になったり、一緒に住み始めたり。

様々な感情がうごめき、その感情をそのまま保存しているのかもしれない。
でも、何があったかは、ざっくり上のようなことを覚えているだけで、具体的にどんなことがあったかは少しずつ忘れ始めている。

記憶は少しずつ薄れたとしても、多分このセンチメンタルな感情はきっと金木犀の香りをかぐたびに、思い出すのだろう。