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祖母の遺体はマズかった

タイトル詐欺ではない。

マジで食べた。



骨壷を開け、中に入った祖母のかけら掴んで、ゆっくりと舌の上に乗せた。


幼い頃に可愛がってくれた思い出たちがよみがえり、なんだか甘酸っぱい味がした。







…というのはウソだ。

普通にマズかった。バーベキューしたリブロースの骨と何も変わらない。



◇◇◇



さて、私は変態でも異常者でもない。

祖母を骨まで愛したかった、それだけだ。






…というのは建前に近く、自分なりに納得できる方法で祖母を弔いたかったのだ。



なぜなら、葬式仏教がキライだからだ。

つーか完全に蔑んでいる。



仏教としても、科学的にも、ビジネスとしても、ヒューマニズムとしても、あらゆる観点でクソだと思っている。

知識のない素人の感情を悪用し、大金を巻き上げ続ける詐欺ビジネスの一種だと思っている。




だから祖母の遺骨を食べてみた。

遺骨は消化器官で分解されたあと、カルシウム満点のサプリとなって私の骨に生まれ変わるはずだ。




もはや私は遺骨は一心同体。

境目がなくなってしまった以上、24時間365日 一緒だ。なくすことはありえない。常に墓参りできる。イヤ、せざるおえない。




なのに、何でバカ高い墓石が必要なんだい?

それに、お葬式で呼ばれるお経はこういう内容を伝えてたりするんだよ?漢文だからチンプンカンプンだろうけど。


意味もわからず呪文を聞いてありがたがったうえ、高いお金とそれっぽい儀式で悲しみを紛らわすなんて、おこがましいとは思わんかね………。


『ブラックジャック』より




◇◇◇


ホントのことを言えば、別に遺骨なんか食べる必要すらない。単なる演出だ。

祖母の遺骨は、たくさんの食べ物の栄養が姿を変えたものであって、祖母そのものではないからね。リサイクル資源にすぎない。




遺骨を食べたのは数年前だが、当時から既にそんなことはわかっていた。

それでもなお食べたのは、こうやって話をシェアするためだったのかもしれない。

祖母は信心深い人なので、必ず私の意図を理解してくれるはずだ。 





彼女の死という経験が、少しでも社会のプラスとなる何かにつながるならば、全然オッケーだよ。

と言ってくれる。確信がある。





ちなみに、今夜の夜食は半額の見切り品になっていた子持ちシシャモの丸揚げだ。198円。

塩と醤油どちらで食べるか、ワクワク悩んでいる。



ボンカレーも遺体のスープ。うまいのだ

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詠み人知らず
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