日本人は、ひとりよがり? 山本七平「比較文化論の試み」
お世話になります。読男・リードマン(よみお・りーどまん)です。
You Tubeで、気まぐれにお気に入りの書籍を紹介しています。
今回は、山本七平、「比較文化論の試み」を紹介させていただきました。
動画内では、
・日本人のひとりよがりなものの見方や考え方
・臨在感
・対立概念
の3点を論点として挙げましたが、本書のキモを一言でまとめてしまうと、「他人の靴を履いてみよう」なのです。
自分の考え方や感じ方、在り方を客観的に見てみることも、自分の臨在感をちゃんと相手にわかることばで言語化して説明することも、相手の臨在感を想像して理解することも、一つの事象の中の対立する概念に思い至ることも、すべて「他人の靴を履く」、つまり「相手の視点に立つ」ことがその出発点になるのです。
これがとても不得手な方が多く、どうしても「感情移入」になりがちなように思います。相手の目線で見てみることと、自分の感情を相手に移入してしまうことは、一見同じように見えて、全く逆のことです。
この部分は本当に大事です。本作の中でエピソードとして語られている、保育器の中の赤ちゃんが寒いだろうとおもい、カイロを入れて爆発してしまった(昔のカイロは白金カイロという、燃焼させて暖を取るものでした。それを酸素で充満した場所に入れたら……)というような事件は、極端な例でしょうが、感情移入という誤った共感によって引き起こされてしまった行き違いやモヤモヤした思い、避けられたかもしれない不幸に心当たりがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今後、そんな事態を引き起こさないために、この一冊は読んでおいて損はありません。全100P、税込550円と、分量も価格もお手頃ですので、ぜひ一度、お手にとっていただければと思います。
それではまた、お会いできたときに。
ごきげんよう。