新聞販売店の仕事に迫る
こんにちは、人事部採用Gの渡辺歩希です。みなさんは新聞販売店を知っていますか? 毎朝ポストを開けると、雨の日も風の日も当たり前のように新聞が届いていますよね。ほぼ毎日、新聞を読者に届けてくれるのが新聞販売店です。読売新聞の販売店は「YC」(読売センター)と呼ばれています。
記者たちが取材し、その記事が新聞として印刷されても、だれかが読者のもとに届けないと情報を伝えることはできません。デジタル配信もありますが、紙は一覧性に優れ、広げて見ることで視野と理解が広がるという価値を持ち続けています。新聞社と読者を結びつける「ラスト・ワンマイル」を担うYCは、世の中に情報を届ける重要な役割を担っているのです。
今回は、YC所長の話も含め、販売の世界に迫りたいと思います!
約400年の歴史あり
そもそも新聞があたりまえに家に届くようになったのはいつからなのでしょうか。歴史を紐解いてみると、江戸時代から新聞に似た印刷物である「瓦版」(かわらばん)と呼ばれる読み物があり、「売り子」と呼ばれる人が、内容を読み聞かせながら売り歩きを行っていました。
明治時代になると、印刷の技術が発達し、「新聞」と呼ばれるものが誕生。同時に、売り子による販売方式をやめて、以降は宅配と郵送に切り替わっていったそうです。
そこから徐々に全国に販売店が増え、1870年代の読売新聞の社告には東京、大阪、京都など、現在の都道府県で見ると12都道府県に販売網の整備が完了した旨が記述されていました。明治時代には既に販売網が確立されていたとは驚きです。今では全国各地に約6600店のYCを設けており、日々、新聞配達を行っています。
「YC」に歴史あり
さて、YCという名称はいつから使われているのかというと、2000年1月26日に販売店の名称が「YC」(読売センター)となったそうです。
それまでは販売店の名称は2種類ありましたが、読者が引っ越しの際に混乱を避けるために名称の統一を図ったそうです。
「YC」のロゴには以下の意味が込められているそうです。
読売新聞社とYC
さて、YCと読売新聞社にはどのような関係性があるのでしょうか? YCと読売新聞社はいずれも独立した企業であり、1店舗ごとにYCの経営者と会社側が取引契約を結び、新聞配達を行ってもらっています。
どうやって連携を図っているのだろうと思う方もいるかもしれませんが、そこで力を発揮するのが、読売新聞の7つある職種のうちの1つ「販売戦略職」です。販売戦略職の仕事は、YCの経営戦略の指導や販売網の強化を守るといった経営コンサルタントのような業務が大きな役割です。
その中でメインとなるのが「訪店」と呼ばれる仕事です。訪店とは、東京本社管内にあるYCを東京23区、北関東、甲信越、東北、北海道など62地区に分けて、1地区1名の販売局員が担当者となり、1店ごとに足を運ぶことを指します。
訪店した際、YCが抱える経営課題のヒアリングや読売新聞のファンを増やすためのプロジェクトの企画・立案を行います。
一例を挙げると、読売新聞グループの1つである読売巨人軍と地元の野球チームや団体がコラボをして開催したYC主催の「野球教室」の運営などを、販売局員がサポートすることがあります。
このような働きかけをすることで、読売新聞のことを多くの人に知ってもらい新聞普及率の向上や販売網の強化に結びつけます。その結果として、読売新聞社の増益をYCと共に目指しているのです。
まさに、読売新聞社とYCは密接不可分なパートナーであると思いました。
販売局員が担当する地区は約2年ごとに変更になるため、社外での営業が大好き、外回りが大好きだという人、さらには、旅行好きな人(?)には最高の職種かもしれませんね。
販売戦略職の仕事について理解を深めたい方は、秋から開催予定の26年入社向けインターンシップ「販売戦略カフェ」「販売戦略カレッジ」にぜひともご参加ください!
人の温かさに触れ、販売の世界へ
続いて、YCはどのような方が経営されていて、読者に新聞が届くまでの過程はどうなっているのかについて迫ります。YCの仕事内容を深く知るべく、埼玉県所沢市にある「YC東所沢」を訪れ、山本敬所長(55)にお話を聞きました。
山本所長は、高校卒業後、友人の母親から新聞配達の仕事を紹介され、YCとかかわりを持つようになりました。いざ働いてみると何度も仕事を辞めたいと思ったそうです。
しかし、読者の方の中には、雪の日には温かい飲み物を用意して玄関で待っていてくれたり、お礼をしたためてくれた手紙と寒さ対策のための靴下をポストに用意してくれてあったりと、人の温かさに何度も触れ、救われてきたそうです。こうして、2001年から約60人が働くYC東所沢をとりまとめる「所長」に就任しました。
配達、集金、営業の3本柱
YCの仕事について迫っていきましょう。仕事内容は大きく分けて3つになります。まずは「配達」です。配達地域ごとに新聞を仕分け、配達ミスがないように心がけます。雨の日など天候が悪い日には、1部ずつポリ袋に入れて、汚れないようにして届けることを心がけているそうです。
次に、「集金」です。購読者のお宅を1軒1軒訪問することも多くあります。高齢の1人暮らしのお宅では「お変わりありませんか?」などと声をかけることも意識しているそうです。このように、集金をしながら街の安全を見守ることにも従事しており、地域の安全、防犯活動の一翼も担っています。
最後に、「営業」です。山本所長は、「地域との信頼関係があってこそ営業は成り立つ」と言います。身だしなみを整えて交通ルールを遵守しながら配達する姿を住民にしっかりと見せることに力を入れているそうです。
「読売新聞の配達員からなら購読していい、と思ってもらえるように印象付けることを大切にしています」(山本所長)
不備なく新聞が届くには何か秘策はあるのでしょうか? 山本所長からは「順路帳」と呼ばれるものの存在を教えてもらいました。順路帳とは、効率的な配達ルートが記された地図のようなものです。配達の際に、誰がどこの区域を配達するのか担当者を決め、担当になった区域の順路帳を見て、どのルートでたどれば効率的に購読者の自宅を回ることができるのかが書いてあります。不着を防ぐため、ルート通りに配達を完了させることが大事です。順路帳は常に最新の状態にしておくのも重要なのだそうです。
新聞配達だけではない
YCの業務はこのほか多岐に渡ります。以下、簡単にご紹介します。
1つ目は、号外対応です。飲食店やガソリンスタンドなどに号外を置かせてもらい、読売新聞もっと知ってもらおうという取り組みです。
パリ五輪では、かなり多くの号外が出ました。山本所長はどこにどれだけの部数を配置させて貰おうかと大会前から考えていたそうです。号外はもらうと嬉しいですよね。そんな号外が手に入る号外設置ポイントは、埼玉県だけですが、以下のページから見る事もできます。
2つ目は、日帰りバスツアーの開催です。過去には「東京タワー 桜名所のお花見」や「沼津港グルメ食べ歩き」などが開催されました。所長自ら観光バスに添乗し、購読者と共にツアーを楽しんだこともあるそうです。
3つ目は、今年夏に初めて行った取り組みです。埼玉県内で女子プロサッカー・WEリーグに所属する「ちふれASエルフェン埼玉」とタイアップをし、少年少女サッカー教室を手がけました。
この取り組みは山本所長が会長を務める「埼玉西部読売会」(これは、埼玉西部地区の販売店主の集まりでのことです)が窓口として交渉にあたり、他業種とのコラボとして開催に至りました。もちろん練習場では新聞を配り、購読者の獲得にも力を入れたそうです。
このように所長が自ら企画を提案し、読売新聞のことをもっと知ってもらおうと日々奮闘していることが伝わってきます。このほか、JAと協力して地元で収穫された野菜や米などを販売する朝市の開催や、田植え・稲刈り体験なども行っているそうです!
可能性は無限大
最後に、山本所長に「よみうりノート」を読んでくれている方に向けて思いを語ってもらいました。
Q 仕事のやりがいについて教えてください。
山本所長:集金の際、お客様からありがとうと言われることです。購読料をいただいているにも関わらず、お客様から「新聞を毎日届けてくれてありがとう」って言ってもらえるんです。そのお陰があって、明日も頑張ろうとかそういった仕事の原動力につながります。
Q 今後展開していきたいサービスがあったら教えてください。
山本所長:読売新聞の多彩なグループ企業と連携した新たな取り組みができたらと思います。他のYCとも連携を図りながら、高齢者だけではなく若い人に刺さるサービスを何かできないかこれから模索していきたいと思います。
Q 未来の読者になるかもしれない「よみうりノート」を読んでくれている方に向けてメッセージをお願いします
山本所長:紙の新聞はなくならないと思います。毎日決まった場所に汚れなく新聞を届けます。新鮮な情報をぜひ手に取って読んで見てください。間違いなく、新たな発見が見つかり、視野が広がります!就活生にはぜひとも読んでほしいと思います。
取材後記
今回はYCの歴史や仕事内容などをご紹介しました。読売新聞のファンを増やすために、購読者を大切にしながら地域に密着し連携を続けていることに胸を打たれました。これからもYCの取り組みに目を向けていきたいと思いました。みなさんも、お近くにYCがあると思いますので、通りがかった時には、温かいまなざしを向けていただければ幸いです。
なお、販売戦略職のインターンで現在募集中のものは「販売戦略カレッジ11月コース」で、11月7日(木)正午締め切りです。たくさんのご応募、お待ちしています!
取材・文 渡辺歩希