チョコとカクテルのミクソロジー
虎ノ門にあるバーmemento moriと、中野坂上のROND-POINTによるミクソロジー。
ミクソロジーとは聞き慣れない言葉ですが、「Mix(混ぜる)」と「Ology(―論)」を組み合わせた造語です。
本来はリキュールやフレーバーシロップを使用せず、フルーツや野菜、ハーブ、スパイス等の様々な素材を使うカクテルのことを指します。
混ぜ合わせるだけではなく、液体窒素や遠心分離機など、革新的な技術と芸術的なセンスによって斬新な進化を遂げています。
自然な材料をアルコールと組み合わせ、素材そのもののおいしさを楽しむカクテルの新スタイルです。
そんなミクソロジーの先駆者であるmemento moriと、バーテンダーの知識を用いてチョコを作るROND-POINTの豪華コラボ。
どれも神々の果実に酔う、という名前に恥じない神秘的な味。
I. Cacao Pulp Fizz(カカオパルプフィズ)
【カクテルの説明】
カカオの果肉、カカオパルプを ふんだんに使ったカクテル。 本物のカカオポットを器として使用しており、 味わいはまるでライチやマンゴスチン。カカオは果物だということがわかる1杯。
【チョコの説明】
memento mori のシグネチャーカクテル。
チョコレートではなく、果物としての 瑞々しいカカオの味を強調するため極力甘さを抑えている。なかなかボンボンショコラで再現できないパルプのフルーティーさをパートドフリュイとガナッシュの2層で表現。
【感想】
一番感じるのはパルプのみずみずしさ。そこを楽しむために周りのチョコは香りと甘味が抑えめ、中のパートドフリュイも甘味が控えめ。カカオの味とパルプのみずみずしさを楽しむ一粒。
II. Cacao Alexander(カカオアレキサンダー)
【カクテルの説明】
カカオリキュールを使わずに、 カカオ豆を漬け込んだコニャック、 カカオシロップ、生クリーム で作り上げたオリジナルのアレキサンダー。
【チョコの説明】
チョコレートカクテルの代名詞アレキサンダーを逆にボンボンショコラで表現。フルーティーと言うよりもビターなカカオ感、上質なコニャックのアルコール感、 アクセントに少量のエスプレッソと カカオバルブの酸味でカクテルの複雑さを表現。
【感想】
飲んだことないのにこれがコニャックだ!とわかる芳醇で香り高いアルコール感と樽感。ビターなカカオと生クリームの濃厚さ。
III. Chocola Porcini(ショコラポルチーニ)
【カクテルの説明】
ポルチーニとチョコレートは相性が良く、 ボンボンでも見かける組み合わせ。 ジワリと旨味が広がり、とても美味。
【チョコの説明】
料理、カクテル、デザートの境界を超えた自由なミクソロジーカクテルを再現。 ポルチーニ茸から摘出した旨味と香りを ミルクチョコレートに取り込む。そこまではパティシエの発想としても生まれるが、 「自家製のポルチーニウォッカ」を加えることで 多角的に輪郭が際立っている。
【感想】
わざとらしくない、じんわりと広がるポルチーニの旨味と香り。香料だとわざとらしい、瞬発力のある香りを感じるがこれはそれがない。
ミルクチョコレートって甘ったるい印象だったけどこれは甘味が控えめ。その分チョコの濃厚さが目立って、主張が強いポルチーニに負けずにちょうどいい塩梅になっている。
IV. Lausanne(ローザンヌ)
【カクテルの説明】
ワカタイという南国のハーブ、アイスワインなどを使用した上質なフローラルで、ハーバルな リキュールのようなカクテル。
【チョコの説明】
今回コラボを行うにあたって初めて目にした国産のフレッシュ「ワカタイ」。 南米料理に欠かせないこのハープは マスカット系の清涼感を強く感じる。自家製のワカタイウォッカを加えることで、香りを煮出すだけでは辿り着けない奥深さとユニークな味を出している。
【感想】
ここまで一気に食べてきて箸休め的なあっさりとしたチョコ。
シンプルな味わいだが、決して手抜きではなくカカオのコクを感じる一品。
V. Amazon Cacao & Rose(アマゾンカカオとローズ)
【カクテルの説明】
ペルーのアマゾンカカオと薔薇のカクテル。18世紀の貴族が愛飲していた薔薇のショコラショーを再現した1杯。
【チョコの説明】
構成としてはアマゾンカカオの力強いガナッシュと 薔薇のパートドフリュイであるが、大量の食用薔薇にストレスを与えずより多く強く香りを抽出するために、 液体窒素で瞬間凍結後、ウォッカに摘出。 その自家製のローズウォッカが味のペースになり 広がる薔薇の香りは余りにも鮮明で衝撃の一粒。
【感想】
バラって下手すると芳香剤の香りがするけどこれは本物のバラと同じ上品な香りがする。
カカオがとても力強いので、バラの香りや何かチョコ以外の味がもう少しあるほうがバランスが好み。
VI. Miel de Tilleul au Japon(シナ蜂蜜)
【カクテルの説明】
memento mori とロンボワンに繋がるキーワードである カカオ、ボタニカル、アルコール。つまりはすべて植物であるのだが、植物の成り立ちに欠かせない ミツバチの恵みを1粒に。
【チョコの説明】
北海道が育んだシナの木の蜂蜜。
シナの木は別名 菩提樹 (ボダイジュ)とも言う。 アジア、ヨーロッパで様々な伝説に登場する木だが、 シナの葉も非常に甘い蜂蜜のような香りがあり、 深いコクと若干の木の香りを感じる神々しい味わい。 ダークチョコレートに加えても 蜂蜜らしさがはっきりと感じられる1粒。
【感想】
チョコって他の素材を喰ってしまうことが多いが、そんなチョコに負けないはちみつの強い香り。
食感も蜂蜜のようなねっとり感。
口に入れた瞬間はあれ?蜂蜜いる?って思ったけど中味〜後味にかけてじわじわと現れる。主役は遅れて登場する、って感じ。
蜂蜜の香りがちょっとクセあるかな?これがシナの葉の香りなのかな。
蜂蜜って吸う蜜によって味変わるって言うし(有名なのはニュージーランド特産のマヌカハニー)
VII. THEOBROMA(テオブロマ)
【カクテルの説明】
memento mori を代表する シグネチャーカクテル。 コロンビアカカオウォッカ、 ヴィンテージのボートワイン、 カシスを使用。
【チョコの説明】
memento mori の代表作を再現したこの一粒は、 カシスのパートドフリュイとカカオラム、 ウォッカの強烈なアルコール感を感じるガナッシュ。 神々の食べ物の名に恥じない荘厳な味わいは、 まさにカクテルを食べるチョコレート。
【感想】
カシスとラムの組み合わせって初めてだけど最高の組み合わせかも。濃厚なカカオの中に、カシスの酸味と甘味がアクセントに。
固めでシャリシャリした食感のガナッシュ。
Ⅷ. Cacao Smoked Manhattan(カカオスモークマンハッタン)
【カクテルの説明】
コロンビアのカカオニブを使ったスピリッツに アイラウィスキーを合わせた マンハッタンのアレンジ。スモーキーなチョコレートボンボンを 食べてるようなリッチな味わい。
【チョコの説明】
ミルクチョコレートを直接スモークマシーンで燻し、 アイラウイスキー 『アードベック」の香りと スイートベルモット 『プント・イ・メス」の苦味で マンハッタンの複雑な味わいを再現。 力強い夜の BAR シーンを彷彿させるような一粒。
【感想】
かじった瞬間にキャンプ場に連れて行かれるスモーク感。アルコールとカカオの両方の苦味を味わえる大人の味。