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断崖絶壁にかいた、虹色の祈り

家族史上、最高の思い出をつくりたい。

そんな使命を胸に
私たちはいちごがり写真館をつくっている。

ミッションは
家族間の会話をふやすこと。

思い出は、共通言語に比例して
満たされるものになっていく。

だから、私たちは
いちごがりに向かう道中から
会話がはじまる仕掛けをつくっている。

会話がうまれる山道を目指して


3年前、北郷IC近くの好立地の畑から
わざわざ不便な山に引っ越した。

私も反対したし、
まわりからもたくさん反対された。

でも、山だからこそできる
面白いことがある。

それは、いちごがりに向かう
道のりから会話をデザインできるということ。

山道は、迷子の確率90%。
命の危険がある断崖絶壁。

そんな不安と恐怖の中で
心の支えとなるのが看板だ。

山のふもとから、数字の看板を立てる

きっと、数字のかかれた看板を見ながら

「いち!」
「にー!」
「さん!」

という会話がうまれているだろうし

「あった!」

という子どもの喜ぶ声が
聞こえてくる気がする。

今年も何か一つ
仕掛けを作りたいな。

ってことで、
倉庫に絵を描くことにした。


農業機械用の倉庫。
壁の大きさは高さ6m、横10m。

素材が波型スレートのため、
絵のデザインも縦線を基調にする必要があった。
(横線の絵も描けるが、かなり制約をうける)

あ、雨にしよう。

農家にとって雨は「恵みの雨」だ。

色を何層にも重ねている


やまない雨はない


人は言葉によってできている。

「壁を扉に」
「夜明け前が一番暗い」
「no rain no flowers」

私は、そんな類の言葉に支えられて生きてきた。

そんな中で

「やまない雨はない」

という言葉もすきだ。

私の人生を振り返っても
苦しい時ほど変化するチャンスだったり、

自分が変化しようとしなくても
時間が解決してくれることってありますよね。

仏教的な考えでいうところの
無常観というものでしょうか。

そんな哲学を表現したいと思った。

土砂崩れで生まれた断崖絶壁


「虹だ!」のひとことを求めて


でも、道の向こうから絵を見つけて
雨ってわかるだろうか?

無常観なんて
子供に伝わるだろうか?

この絵には、わかりやすさが求められた。

私の自己満足な表現で終わらず
ストリートアートのような
わかりやすい絵である必要があった。

子供が理解できる絵って
なんだろう?

子供が描ける絵ってなんだろう?



虹だ。

子供って、虹を見つけると
虹だ!」と叫んで
目を輝かせるよね。

そんな絵になってほしいと思った。

険しい道のりの先で見つけた
輝やく虹を描きたいと思った。

家族という支え、自立という苦しみ


私は絵を描くときに
すべてに意味を持たせるようにしている。

というよりも、
意味がないと描けないのだ。

この絵は、厳しい現実に耐えていた少年が
傘を捨て、花を持って、未来に走り出す物語だ。

傘は、子供にしては少し大きい大人用の傘。

子供は、親という安全基地を頼りに
成長する。

でも、その過程は
どうしても親の制約の中で
生きざるを得ないことが多い。

だから、最後の自立の瞬間は苦しい。

守られて、挑戦して、耐えて、自立していく。
(まだそこまで書き込めていないが)

鳩に込めた祈り


少年の見つめる先には、飛び立つ鳩がいる。

本当は、「自由」の象徴である
「蝶」を描く予定だった。

でも、「平和」の象徴である
「鳩」にした。

まだ、輪郭がぼんやりしている。鳩はステンシル


日々、世界のどこかで
戦争や災害、心無い事件に苦しむ人がいる。


でも、私は何もできない。

無力だ。

だから、鳩に祈りを込めることにした。


今、世の中に必要なのは
自由ではない。


心の平穏だ。

空から撮影


まだ、絵は7割しか完成していない。

ぜひ、まだ物語の途中の絵を見にきてください。


今シーズンのいちごがりは
1/26(日曜)から。

土日祝11時の回のみオープン。
4月頭までの開催です。
https://15photostudio.com/

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あかね|ART in YAMA
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