著者・小坂流加さんが遺した想い。“切なすぎる”ベストセラー小説の映画化に向けて
映画『余命10年』が全国公開を迎えました。ここでは、本作の制作舞台裏について、少しご紹介できればと思います。
ある日、藤井道人監督はプロデューサーから一本の電話を受け取ります。それは、『余命10年』の監督オファー。当時の藤井監督には、いわゆる余命ものや恋愛映画に対して、ある種の抵抗があったそうです。物語のゴールや感情の落としどころがあらかじめ決まっているような作り方には疑問を持っていたからでした。
しかし小坂流加の原作を読んでその見方は変わります。「闘病中に加筆(文庫版に収録)された部分の生々しさが凄まじくて、彼女が本当に書きたかったことに対する執着みたいなものが感じられたんです。単にこの小説を実写化するのではなく、小坂さんが生きた証を刻みつつ、ドキュメンタリーとフィクションの融合みたいなところに挑戦したいと思いました」。
藤井監督の右腕とも言える撮影の今村圭佑さんもまた、「小説のベースには小坂さんの実体験があるけれど、実際に小説と同じ恋愛をしたわけではない彼女が、小説の中でラブストーリーを叶えた。そこに映像として表現する拠りどころがあると思いました」と語ります。
オファーを引き受けるにあたって藤井監督がこだわったのは、“一年を通して撮影する”ことでした。「季節の移り変わりによる暑さや寒さ、匂い、体温などとともに、それらが役者陣のお芝居にもたらすものを、しっかりとらえたいという思いがありました」と振り返ります。その一年間に劇中の10年を置き換えるようにして、春・夏・秋・冬の四季になぞらえ、茉莉と和人の過ごした楽しくも切ない時間を丁寧に描きたかったからでした。
著者・小坂流加さんの意思を継ぎ、全身全霊で作品に向き合った、小松菜奈さんと坂口健太郎さん。そして藤井道人監督が熱い想い。“かけがえのない今日を生きるすべての人“へ贈る本作を、ぜひ劇場でご覧ください。
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