「寄り添う力」と「起業家精神」をウクライナ支援へファーストペンギンであり続ける代表、小澤未侑さんの魅力に迫りました
「Take a Step for Peace」では、募金活動を主に行っています。3月10日に設立してから3日程で、SNSを通じて100人余りを繋げ、3月の週末を利用して行った募金活動では、総額107万円を集めました。募金は全額、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)に寄付をしています。
組織運営や当事者意識を持たせることに困難を感じながらも、「前向きに活動している」と話す小澤さん。
お年玉で図書館を立てた
小澤さんがウクライナへの募金活動を始めた背景には、カンボジアで図書館を立てた経験があります。
中学卒業後の春休みに、カンボジアでボランティアをするツアーに参加しました。
そこでの女の子との出会いが、小澤さんを大きく変えます。
「何をするのが楽しい?」そう聞いた小澤さんに、女の子はまっすぐに目を見つめて、「スタディング(勉強)」と答えました。
その地域では、「最低限の計算が出来ないと生活に苦労する」と実用的な算数が優先で、「教養」までを教える余裕がありませんでした。
小さい時から本が好きだった、小澤さん。恵まれた自分の立場を知り、貢献したいと強く思うようになりました。
そこから始まった、図書館の建設。お年玉をかき集めて、6千ドル(約67万円)もの資金を寄付しました。
「自分の手で状況を変えられる」高校生ながら小澤さんは、自分の可能性の広さに気づきました。
スタートアップ畑で培われたもの
大学に入った小澤さんは、早稲田大学のスタートアップサークル「Wit」の代表になるなど、ビジネス的な視点も学んでいきます。
「決めたら、すぐに始めてみる。」
イノベーションを起こすべく奮闘するスタートアップの世界で培った強いリーダー性が、小澤さんをよりたくましく変えていきました。
そして、今回のロシアによるウクライナ侵攻。現地の悲惨な情勢を知ってから、SNSで毎日のように投稿し、支援を呼びかけ、現地にいる人と連携しながら、「自分が出来ること」を模索しました。
「未来の自分が後悔しないよう、今、少しでもアクションを起こしたい。」
そう考えて、「明日を生き抜くための資金」を集めるためと、自ら率先して募金活動をスタートしました。
「誰でも出来るけど、誰も始めていないこと。だから、私がやる。」
ファーストペンギンとして自分が動いている背中を見せることで、今アクションを起こせていない人をも巻き込んでいきます。
そんなガッツたっぷりの姿が、一歩ずつ、一歩ずつ、変化を起こします。
「ネガティブなことは発信しない。常に明るく。」
募金活動を開始してから、ネガティブなコメントをもらうこともありました。
「ミャンマーの時には何もしていなかったくせに」「安全圏にいて、偽善ではないのか」
そんな言葉にも、決してめげません。
「人々の関心度が高いウクライナから始めて、他の地域の支援などを進めていきたい。」「今の活動は、最初の一歩としての位置づけ」「偽善と思われるかもしれないが、私は私が出来る正しいことをしていきたい」。
リーダーとして一番大切にしていることは、「自分が楽しんでいる姿を見せて、他人に対して、ポジティブな発信を続けること」
全くお金が集まらない募金中の時間も、決してネガティブな言葉を発さず、常に団体を鼓舞します。
「自分を好きでいること」「自分のしていることを好きでいること」「前向きなメッセージを発信し続けること」
インタビューの間、一度も苦悩を吐露することなく前向きに活動について話していた小沢さん。
ウクライナでは、一刻一刻と情勢が深刻化し、罪のない市民が数多く亡くなっています。
すぐに結果が求められるこの活動。小澤さんのひたむきさと前向きさが、多くの人を巻き込み、戦禍に苦しむ人々に寄り添い続けます。
「明るく人を巻き込みながら、世界を変えていく」
そんな次世代リーダーの挑戦は続きます。
執筆:清水和華子/Wakako Shimizu
編集:三井滉大/Kodai Mitsui
インタビューを受けてくれた方:小澤未侑さん。Take a Step for Peace代表。高校生の時から、紛争問題を抱えるカンボジアで、事業設立を経験。「アクションを起こさなかったことを未来の自分が後悔することがないよう、今、少しでもアクションを起こしたい」という思いからウクライナ復興募金プロジェクトを開始。団体のHPはこちら。