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新東京ビル/アーティストインタビュー(THE COPY TRAVELERS)

こんにちは!YOMAFIG.です。

新東京ビルオフィスフロアにおいては、誰もが気軽にアートを楽しめる空間として、2024年5月にリニューアルがなされました。
アートに関心はあったけれど、あまり触れる機会のなかった方もより一層アート鑑賞をお楽しみいただけるよう、館内のアートをご制作くださったアーティストご本人に作品の見どころやアートの楽しみ方を伺ってみました!

THE COPY TRAVELERS(加納 俊輔 / 迫 鉄平 / 上田 良)

京都を拠点として活動する美術家、加納俊輔、迫鉄平、上田良によって2014年に結成されたユニット。
個々の活動でも写真や映像をメインに活動している三人のエッセンスをミックスしながら、「複製」という手法の可能性について、コピー機やスキャナ、カメラなどのツールを用いて、日々、実験に勤しんでいる。アートブックの出版をはじめ、展覧会、ワークショップなどの活動を行なっている。

近年の主な展覧会に、「考える手、滞空する目」(茨木市立ギャラリー、茨木クリエイトセンター、大阪、2023)、「日常をととのえる」(はじまりの美術館、福島、2022)「VOCA展2022 現代美術の展望ー新しい平面の作家たち」(上野の森美術館、東京、2022)、「Super-fine」(イルミン美術館、ソウル、2021)、「MOTアニュアル2019 Echo after Echo:仮の声、新しい影」(東京都現代美術館 、東京、2019)などがある。

ー新東京ビルにかけられている作品について、どのような作品なのか教えてください!

この作品は有楽町ビルで滞在制作をしていた際に作られた作品です。
新東京ビル建設中の仮囲いに展示する作品を制作する過程で生まれた作品でもあります。我々の制作は様々な印刷物や素材を切り抜くところから始まります。この作品は切り抜いた素材を有楽町ビルの壁に貼った状態を撮影した写真作品です。

新東京ビル建設中の仮囲いに展示されていた作品(現在は工事が終了したため撤去)

本来コラージュは素材同士を糊付けして固定するのですが、マグネットで仮貼りした状態を撮影することで一時的なコラージュを留めています。また撮影することで紙のわずかな物質感が強調されます。
写真イメージが本来の文脈から切り離されながらも複数のイメージと結びつくことにも面白さを感じています。

〈THE COPY TRAVELERSのポップフライと空き地〉2021|インクジェットプリント、ターポリン|2500xx3750mm
〈あの日のコピササイズ2019〉 2019|シングルチャンネルHDビデオ|29'11"

THE COPY TRAVELERSさんの作品は「コラージュ」という、対象物をそのものの背景や文脈から切断して別の何かと再接続する手法に加え、更に「一時的な仮留め」としておくことで、宙ぶらりんでありながらもイメージを生成する、独特の仮設感、スクラッチ感ともどかしさを感じられます。
新東京ビル建設中の仮囲い作品は、作品の仮設的な性質と仮囲いそのものとの親和性に、大きなサイズ感と高い彩度も相まって街中に浮遊する見応えある作品となっていました!

YOMAFIG.

ー作品をどのように眺め、どのように楽しめば良いでしょうか

素材としている印刷物は古本屋で購入した写真集や漫画のコマ、テーブルクロスやシールなど、様々な文脈からピックアップされたものが使われています。それらの繋がりを自由に考えてもらっても良いですし、それぞれをバラバラに捉えて見ていただいても良いと思っています。

「Waking, Jumping, Speaking, Writing.」SeMA STORAGE 2018 展示風景 Photo:GIM IKHYUN


〈猫が映画を撮る時代〉 2024|インクジェットプリント|420x297mm


ーすこしアートに興味が出てきたけれど、どこで作品を見たり買ったりすれば良いかわからない…そんな方におすすめのアートの楽しみ方やアドバイスがあれば教えてください!

まずは自分の好きだと思うアーティストや作品について色々と調べてみるのが良いのではないかと思います。
例えばインタビューを読んでみるとそのアーティストが影響を受けた作家や作品、好きなものが知れることがあります。そのようにして、自分なりにアート相関図みたいなものを蓄積していくと、美術作品を見て調べることで様々な発見があると思います。

「美術の歴史」というと難しく感じるかもしれませんが、好きなアーティストの歴史を知ることから始めると良いかなと思います!

作品の素材をバラバラに見たり、つなげてイメージを見出したり…THE COPY TRAVELERSメンバーの制作プロセスの思考を追体験できるようで面白そうです!

また、「好きなアーティストの歴史を知ることから始める」というアートの楽しみ方は手軽でいて勉強になり、とても良い導入となりそうですね。アーティストの個人史に、自分との意外な共通点が見つかったりと面白い発見があるかもしれません。

THE COPY TRAVELERSの皆さん、有難うございました!

YOMAFIG.

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