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新東京ビル/アーティストインタビュー(新井碧)

こんにちは!YOMAFIG.です。

新東京ビルオフィスフロアにおいては、誰もが気軽にアートを楽しめる空間として、2024年5月にリニューアルがなされました。
アートに関心はあったけれど、あまり触れる機会のなかった方もより一層アート鑑賞をお楽しみいただけるよう、館内のアートをご制作くださったアーティストご本人に作品の見どころやアートの楽しみ方を伺ってみました!

新井碧
1992年茨城県生まれ
2022年京都芸術大学 修士課程 芸術研究科 美術工芸領域 油画専攻 修了
無意識的な動作の痕跡や身体の有限性に焦点を当てている。鑑賞者に「描く行為」自体を身体的に想像・追体験させる手法を用い、生命と時間の在り方について問いかける。

ー新東京ビルにかけられている作品について、どのような作品なのか教えてください!

自分は、絵を描く時の動作、絵を描く行為それ自体に着目し制作する作家なので、モチーフとされるものはあったりなかったりしています。
その瞬間瞬間の自分のコンディションを意識していて、例えば、筆やキャンバスへの力の込め方・抜き方、手や腕の軌道がどう絵に作用するかなどを常に考え向き合いながら作業しているので、絵の完成形もあえて決めずに描いています。その画面上でのドローイング的行為の集積を、時間の蓄積・痕跡と捉え、その人間の行為自体が作品になりうるのではないかという考えを持ち、制作しています。

silhouette ♯Nine Discourses on Commodus

こちらの作品は、そういったいわゆる「身体性」を大切にしたその上で、さらに今の社会を生き、生活しているいち個人としての視点も大切にしていきたくて、社会的テーマにも触れつつペインティングできないかと考え、模索していた時期にできた作品でした。

タイトルは「silhouette ♯Nine Discourses on Commodus」、尊敬する作家の1人であるCy Twomblyの作品のオマージュです。

Cy Twombly(サイ・トゥオンブリー)(1928〜2011)は、20世紀の美術を代表する巨匠とも言われているアーティスト。色を多用せず、面よりも線で描かれる画面は絵画でありながら「詩的」とも評されています。
興味があるかた、もっと詳しく知りたいかたはこちらもチェックしてみてくださいね。

サイ・トゥオンブリー(美術手帖)
https://bijutsutecho.com/artists/296

YOMAFIG.

ーすこしアートに興味が出てきたけれど、どこで作品を見たり買ったりすれば良いかわからない…
そんな方におすすめのアートの楽しみ方やアドバイスがあれば教えてください。

作品に出会うには、ギャラリーや美術館、アートフェア、SNSなど、いろいろな入り口があるかと思います。ぜひお近くの美術館やギャラリーを、気軽に訪れてみてください!…とは言っても、美術館もギャラリーもちゃんと楽しめるかわからないと感じる方は、アートフェアがおすすめです。

3月にはアートフェア東京、7月にはGendai、11月には関西にてArt collaboration Kyotoなど、それ以外にも国内には様々なアートフェアがあります。
そこでは広い会場で一度に様々なジャンルのアート作品を見ることができます。好みの作品や、お気に入りのギャラリーを見つけるにはもってこいです。

おすすめの楽しみ方としては、やっぱり直接作品をじっくり観賞していただくことかもしれません。(ただこれは、人が多くザッピング向きのアートフェアでの観賞としては向かないかも…。上述とは少し切り離してお読みいただけると幸いです。)

観賞体験の醍醐味は新しい価値観との出会いだと思っていて、例えば、人と話している中で自分にはない視点の意見や新鮮なエピソードを聞くと、視野が広がって面白いですよね。作品観賞はそれと大体同じと考えていただいて構いません。

そういった体験を得るには、人とのコミュニケーションと同じで、ひとつひとつの作品とじっくり向き合う時間を作っていただけたらと思います。
1分でもいいので、PCとスマホを一度手放し、作品と対峙して浮かぶ様々なことを掬って向き合ってみてください。

作品は基本的に作家からの問いかけなので、作品に対して観賞者が胸に抱く感想に間違いはありません。最初は「何を意味しているのかよくわからない」というのも、「色が綺麗だな」というのも、「友達に似ている顔の人物画だな」というのでも、思考のきっかけはなんでもいいんです。もちろん何も浮かばなくてもOK。

その後、作家の意見やコンセプト、タイトルとか制作年とかを調べてみて、一度答え合わせしてみる。(その答えも別に必ず合致しなくてもOKです。厳密に言うならば「答え」というワードも少しニュアンスが違うかも。)

そうやって作品と向き合う時間を確保すると、何かしらの発見があるはず。そういった過程の中で、視野を広げるような新しい価値観に触れることができたり、あるいは自分にフィットする感覚のある作品に出会うと、きっともっと出会いたくなって、もう美術の沼から抜け出せなくなりますよ!(笑)

なるほど〜!確かに作品と対峙する時間は貴重なデジタルデトックスの時間にもなっています。

アートフェアは国内外様々なギャラリー・画廊がブース形式でおすすめ作品を出展する展示即売会。大型のホールや会議場で開催されることが多く、アート初心者でも入りやすいです。若手アーティストの大作から巨匠のドローイング等まで一気にいろんなアートを観ることができ、さらに気に入ったら買うこともできる、美術展や芸術祭とはまた一味違った機会です。

ぜひ下記の記事を参考に、お近くで開催されるアートフェアがあれば楽しんでみてくださいね! 新井さん、有難うございました!

2024年下半期に見たい日本のアートフェア&芸術祭19選。注目のTokyo GendaiからArt Collaboration Kyotoまで一挙紹介!(2024.07.02
ART NEWS JAPAN)
https://artnewsjapan.com/article/2416

YOMAFIG.

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