![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/148059712/rectangle_large_type_2_c9fde86765fb1d47e8c1a3ea3a66eba2.jpeg?width=1200)
新東京ビル/アーティストインタビュー(吉見紫彩)
こんにちは!YOMAFIG.です。
新東京ビルオフィスフロアにおいては、誰もが気軽にアートを楽しめる空間として、2024年5月にリニューアルがなされました。
アートに関心はあったけれど、あまり触れる機会のなかった方もより一層アート鑑賞をお楽しみいただけるよう、館内のアートをご制作くださったアーティストご本人に作品の見どころやアートの楽しみ方を伺ってみました!
吉見紫彩
1990年大阪生まれ。東京在住。
時間や空間の影響で作品表面の塩の結晶が変化する「ritual」シリーズや、ことばの起源を探る「sound breathe」シリーズ、毎日決まった動作で茶をキャンバスにステイニングさせる「map」等、古今東西で共通する儀式や物語の定型、象徴や表現技法をモチーフに制作を行っています。
ー新東京ビルにかけられている作品について、どのような作品なのか教えてください!
私は古今東西の様々な文化や宗教に共通する象徴や素材、表現技法を作品にしているのですが、この「between the curtains」シリーズは、中でも身体表現における共通の物語の定型やモチーフを取り上げ、描いています。
シリーズ名の「between the curtains」の「curtain」とは、舞台の幕・緞帳のことを指していて、古今東西様々な舞台の幕、例えばバレエやオペラの緞帳や歌舞伎の定式幕など 様々な舞台の幕の裏側が、ある次元ではつながっているというイメージで描いています。
![](https://assets.st-note.com/img/1721702647720-F6NJncmUSP.jpg?width=1200)
展示している大きな2枚の作品「between the curtains #matinée」と「between the curtains #soiree」は、そのある次元の幕を描いていて、ワープの入り口のようなものです。舞台の幕・緞帳を向こう側とこちら側を分ける幕というイメージがあるかもしれませんが、この幕は生物の細胞膜のような、向こう側とこちら側で酸素や栄養素を交換できる半透明の膜として描いています。
また、私は日頃から舞台上の特別なダンスだけではなく「我々の身体はノイズをもって、日々をダンスしている」と考えていて、時として病気や故障に見舞われ、環境や他者とも分けきれない、ままならない身体をもつ私たちがそのノイズから生み出す、または作り出してきた ある細波。それをダンスとして捉え、ペインティングしようとしています。
オフィスビルでワーカーの皆様が働いたり休んだり、疲れたり元気になったり、良いことがあったり振り回されたりする日常、それら全てがとあるダンス作品のように感じられて、この幕を描いた作品がここにあることによって、オフィスビルがステージで、皆様の日々がダンスのように感じていただければ良いなと考えました。
ちなみに、タイトルについている「matinée」と「soirée」はそれぞれ舞台用語で「昼公演」と「夜公演」という意味だそう。朝早くから夜遅くまでドラマが繰り広げられるオフィスビルにピッタリな作品ですね!
ー作品をどのように眺め、どのように楽しめば良いでしょうか
![](https://assets.st-note.com/img/1721702631825-2svLc3r55z.jpg?width=1200)
私は淡い色のレイヤーを何枚も描き重ねていくので、トレーシングペーパーを何枚も重ねたような、あるいは半透明の膜やオーガンジー、すりガラスのような奥行きを感じていただけたり、角度を変えて見ることで浮かび上がってくる色が変わってきます。
階段前のエリアに設置いただいているので、左右だけでなく上下からの角度でもお楽しみいただけるのではと思います。
この幕(膜)から、自分や何か(?!)が出てきたり入ったりする感覚を楽しんでいただければ嬉しいです。
ーすこしアートに興味が出てきたけれど、どこで作品を見たり買ったりすれば良いかわからない…そんな方におすすめのアートの楽しみ方やアドバイスがあれば教えてください!
美術館やギャラリーは「敷居が高いし、よくわからないかも」「買えるかわからないのに入って良いのかな」と気軽に行きにくいという声を聞いたことがありますが、全く気にせず気軽に行って良いと思います!
アート鑑賞は食事や旅行のようなものだと思っていて、知識があればより楽しいけれど、なくてもいいし、何より自分の「好み」を見つけるのが楽しむ近道だと思います。なので、まずは自分の「好み」を見つけるために、食わず嫌いせずに「質より量!」で見てみるのがオススメです。
だんだんと「抽象より具象が好きだな」「淡い色合いが好きだな」「コンセプトのある作品が気になるな」「この人好きと思ったら〇〇出身の人だった!確か前好きだと思ったのも〇〇出身の人だったな」など、自分の好みの傾向が見つかると思いますので、自分の好み探しの旅を楽しんでください。
アート鑑賞を食事や旅行のように考えると気軽に楽しめそうですね。
新東京ビルには様々なジャンルの作品が飾られているので、ぜひ自分の好みの作風を探してみてください。
吉見紫彩さん、有難うございました!