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fairview_square
特別な時代
思い返してみると
ある程度のしがらみや少量の違和感
他人との違いの葛藤に
何ひとつ思い悩むこともなく過ごした子供時代が
一番純粋に人生を楽しめていたのではないかなと
ふとした瞬間に、今となっては何気なく思う。
小学校に入学をして
過ごした低学年時代。
男の子の友達も女の子の友達も
なにも境目を感じずに接していて
ちゃんとした初恋を自覚したこともまだなかった僕は
クラスの教室にきちんと馴染んでいた男の子だった。
馴染んでいる、馴染んでいないの認識すら
当時はきっとなかったのだろう。
男の子と
ドッジボールをして
放課後に家でゲームをして
公園で無邪気に遊ぶ。
女の子とも
お絵描きをして
おままごとをして
なわとびを一緒にする。
自分が一緒にいて楽しいと思うともだちと
ただ遊び、ただ時間が許すまで楽しい時間を過ごす。
今思い返してみても
これほど貴重な時間はきっとこの時代だけ。
今の僕が
少し時間をとって考えてみても
またこの時代に
戻りたいとは思わない。
やり直したいとも思わない。
ただ純粋な楽しさだけの気持ちで
日々を過ごせることだけは
また感じてみたいとはとても思う。
ゲイにとっては
大人になるにつれて現実を徐々に理解するようになってくる。
そうして思い悩むことも増えてくる。
ゲイだと自己認識するまでの
この純粋な日常の時代は
僕にはとても特別な時代だった。