ヨックモック青山本店の歴史。変わらない思いを伝えるため、変わり続けること。
今回のnoteは、私たちヨックモックの青山本店のお話をお届けします。
東京・南青山に本店が誕生したのは、1978年のこと。以来、南青山のランドマークとして親しまれ、長きに渡り多くのお客様に愛されてきました。
菓子づくりの心を建物に通わせるー創業者の想い
「直営の店舗を設け、できたてのお菓子とまごころのサービスを提供する。」
―― これは、創業者の藤縄則一が長年描き続けてきた夢でした。
1969年11月、ヨックモックは1号店を日本橋三越本店へ出店し、「シガール」を発売。その後瞬く間に評判が広まり、1年間で17店舗となりました。
自社社屋の建設と合わせて直営店展開の夢を叶えるプロジェクトは土地探しからスタート。
土地探しは、創業者・則一の息子、藤縄利康(現会長)を中心に進められました。さまざまな場所を検討する中、東京都港区南青山の土地に出会い、利康はその雰囲気に強く惹かれたといいます。
当時、原宿駅から青山通りへと続くケヤキ並木の美しい表参道周辺は、ブティックやカフェができ始め、若者が集まる流行の発信地になりつつありました。一方、青山通りをはさみ、根津美術館や青山霊園へ抜ける通りの周辺は、目につくビルはほとんど無く、高級マンションや邸宅が続く閑静な住宅街でした。
洗練された落ち着き、どこか異国の雰囲気を感じる街並み。利康はこの土地に強く惹かれました。
問題は、予算を大きく超える地価であったこと。拡大はしていたものの、創業期の会社としては大きなチャレンジでした。
最終的には、利康の「南青山はこれからもっと洗練された街になる。」という説得を受け、則一もこの場所に本店を建設することを決意しました。則一もこの土地を訪れ、一目で気にいったそうです。
社屋と直営店を建てるにあたり、インスピレーションを受けたのは欧州のカフェテラス。生き生きとした都会の空気が流れ込んでくるような開放感と、お菓子が紡ぐゆとりの時間。
あの体験をお客様に提供したいと、「中庭を持つ喫茶室」を構想しました。
街並みに面した外壁は、イタリアで特別に焼いてもらった印象的なブルーのタイルを。内側はホワイトのタイル。タイルは、年月と共に雰囲気を出してくれます。中庭に清楚に佇むハナミズキとともに、調和のとれた建物として仕上げられました。
売店・喫茶室のオープン
こうして1978年4月末、待望の直営店と喫茶室がオープン。そこには「お客様への感謝の気持ちとして、ゆとりとくつろぎの時間を提供したい」という願いが込められていました。
売店はブラウンを基調とした内装にまとめ、高級で落ち着いた雰囲気。大理石の枠でできたショーケースを配し、包装を待つ時間もゆったりとお過ごしいただけるようソファが用意されました。
喫茶室も売店と同系の内装の中、美術品や欧州の伝統的な工芸品を配置するなど重厚感を演出しながら、中庭の光あふれる開放的なスペースと対比させ、変化に富んだ空間に。
開業と同時に注目を集め、静かな音楽が流れる店内でゆっくりと品選びを楽しんでいただくお客様、都会の喧騒を離れたハナミズキの下のテーブルで、心豊かにティータイムを過ごすお客様で賑わいを見せました。
1991年、初めてのリニューアル
テーマは「光」
青山本店オープンから約13年後。商品パッケージ、商品名などのリブランディングをきっかけに本店の内装もリニューアルすることに。
パッケージのコンセプト「やさしく、やわらかく、あたたかく、光を発する」に合わせて、青山本店も、「光」をイメージして全面改装されました。
喫茶室は北欧の天空にみられるオーロラ、白夜、星座などを、シャンデリアやライトで表現し、ガラスやスチールを多用したシンプルでクリアなデザインに生まれ変わりました。
売店は接客と包装を別の人が行うことで、お客様にもゆったりとお買い物いただける空間に。
2009年、リニューアル
BLUE BRICK LOUNGEが誕生!
2度目のリニューアルは、18年後。時代や環境、お客様の暮らしの変容を受けて、内装もメニューも一新。
喫茶室は夜間の営業もスタート。アルコールや食事など、大人が楽しめる「海外の高級リゾートにショートトリップするようなテラス」をイメージしたラウンジになりました。
それまでは、喫茶室と呼ばれていましたが、このリニューアルから「青いタイルのラウンジ=ブルー・ブリック・ラウンジ(BLUE BRICK LOUNGE)」と改めて命名されました。今では親しみを込めて「B・B(ビー・ビー)ラウンジ」と呼んでいただけるお客様もいらっしゃいます。
売店は全面がガラスになり、ショーケースにはカラフルなケーキをディスプレイ。道行く皆さんに足を止めていただく姿がみられました。
2016年、感謝の気持ちを表現するリニューアル
3度目のリニューアルは、8年後。ヨックモックらしさ、私たちのブランドのアイデンティティを表現できる空間を目指しました。
ラウンジは曲線を取り入れた柔らかい形、間接照明の優しい光など、青と白の外観と対照的な柔らかな空間へ。壁面にはヨックモックの缶の模様や北欧の針葉樹のイメージを取り入れることでブランドの世界観を表現しました。
目を惹く華やかなショップディスプレイは季節を感じていただけるように。内装は壁面にはブルーのタイルや織物を配置し、左官壁が柔らかな表情を演出。品格と親しみやすさを感じる空間へと生まれ変わりました。
青山本店は、3回のリニューアルを経た今もなお、印象的な青いタイルとこだわりのコの字型、中庭のハナミズキはそのままに、ヨックモックの象徴として青山の地に大切に守り継がれています。実は表参道の歴史的建造物として中学の美術の教科書にも取り上げられているのです!
オンラインショップや全国のお店でヨックモックのお菓子を楽しんでいただける中、わざわざ青山本店を選んでお越しいただけるお客様がいらっしゃいます。そういったお客様への「感謝の気持ち」を込めて、これからも青山本店限定の特別なお菓子、まごころのこもったサービスを提供してまいります。
ちょっとした手土産や大切な方への贈り物を探しに。ご友人とのティータイム、ひとり時間をゆっくりと過ごすために。青山散歩の途中にも。
ぜひ青山本店とブルー・ブリック・ラウンジへお立ち寄りください!
ヨックモック青山本店
■住所 東京都港区南青山5-3-3
■営業時間 SHOP 10:00~19:00 LOUNGE 10:00~19:00(L.O. 18:30)