星屑ドライブ
「人が少なくて日帰りで行けるおすすめの場所ない?」
「星屑ドライブはいかがでしょう」
「へえ。行ってみようかな」
指導係だった先輩が異動して大変そうなのを、他部署の私たちは見守ることしかできなかった。自分が救われたあのドライブが、少しでも先輩の救いになれば…… 祈る思いで話した。
早速日向さんが予約してくれたタクシーに乗り込む。
「星屑ドライブへようこそ」
「はあ。あの」
星屑ドライブって何ですか? ずっと思っていた疑問を投げかけようとすると、車が発進する。
「そう焦りなさんな。外をよく見ててください」
「あ、はい」
すると、驚いたことに街明かりがどんどん小さくなっていく。車が浮いてる!
「これが星屑ドライブさ」
車は光の道を進み、窓の中には星がきらめいている。空を駆け抜ける車窓からのこの景色を、俺はきっと忘れない。
「日向さん、ありがとう。星屑ドライブよかったよ」
「それはよかったです」
心なしか、先輩の顔は少し晴れていた。
(410字)
たらはかにさんの企画に初めて参加いたします。ずっと外から眺めているだけでしたが、ついにこれなら書けそうと参加してみました。
ショートショートかどうかはわかりませんが…久しぶりに410字にまとめる難しさを感じました。
たらはかにさん、どうぞよろしくお願いいたします。
ずっととこひよさんのイラストを見出し画像にしたかったので、叶えられてうれしいです。
サポートしてくださる方、ありがとうございます! いただいたサポートは大切に使わせていただき、私の糧といたします。