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同じ制度で「助成金」だったり「補助金」だったりするのはなぜか
補助金事務は地方公務員にとってはどこの部署にもありますが、補助金について、当たり前のことをまとめた本や資料がない。多くの人は引継書や国の補助金要領を手がかりに、事務を進めておられると思います。
本シリーズでは、補助金の担当になった人のお役に立てるような記事をめざしています。
今回は、補助金の補助金担当者が知っておくべき「同じ制度で「助成金」だったり「補助金」だったりするのはなぜか」について解説していきます。
自転車ヘルメット購入助成金を担当していますが、「助成金」と「補助金」って同じですか、違うものですか。同じ助成金でも「補助金」という名前でやっている自治体もあって、よくわかりません。
1.補助金の名称は当てにならない
補助金の定義について別の記事でご紹介しました。
補助金に共通する性質は、片務性、受益性、特定性の3つ。
と書きました。
助成金の例を出してみると、
自治体によっては「自転車ヘルメットの購入費を一部助成する制度」があります。
この場合、
・助成を受けた市民が、自治体に物品提供やサービス提供しない(片務性)
・購入費の助成を受けることで、経済的な利益を受けている(受益性)
・助成金はヘルメット購入費に充てられる(特定性)
を満たすことになります。
つまり、
この制度が「助成金」という名前であっても、「補助金」という名前であっても、『補助金』という枠組みでは同じ
ということです。
「助成金」と「補助金」は名称だけでは区別できないことになります。
実際、自転車ヘルメット購入については、「助成事業」としている自治体と「補助事業」としている自治体の両方が混在しています。
2.名称に明確なルールはない
世の中には多種多様な『補助金』が存在していますが、「助成金」と呼ぶか「補助金」と呼ぶかは、統一した明確なルールはありません。
名称も含めて、制度を設計する国や自治体の裁量ということになります。
ただし、予算科目の分類では、
「負担金、補助及び交付金」しかありません。
ですので、世の中の「助成金」のほとんどは、この節にて支払われています。
そのため、「助成金」という名称の『補助金』を「負担金、補助及び交付金」という費目で支払っているという状況です。
第十五条 歳入歳出予算の款項の区分並びに目及び歳入予算に係る節の区分は、別記のとおりとする。
2 歳出予算に係る節の区分は、別記のとおり定めなければならない。
※別記
「節」として「負担金、補助及び 交付金」
「説明」として「負担金/補助金/交付金」
3.それでも「助成金」と呼ぶのはなぜか
「助成金」と「補助金」が同じであるならば、すべて『補助金』でもいいのではないか。
こういう疑問があるかもしれません。
確かにそういう見解もあるかもしれませんし、補助金に統一しているようにしている自治体もあるかと思います。
しかしながら、名称よりも性質で見てみると、
「助成金系」(分類分けするため、系としています)と「補助金系」
のおおむね2種類に分けられる、とは考えています。
そして、この両者で、事務の流れやポイントが異なってきます。
ここで「補助金系」とは、中小企業向けの「ものづくり補助金」や医療機関等への運営費補助、国や都道府県から市町村に対する各種補助金や交付金をさします。
さらに、ややこしいことに、
わたしからすると「助成金系」という分類の事業に、
「補助金」という名称を付けていることもあり、
名称での区分が出来ない状況ではあります。
次回以降に、助成金系と補助金系の分類分けについて、書きたいと思います。
▼まとめ
名称に関わらず、「助成金」も法律等でいう『補助金』のひとつで、いずれも多くは「負担金、補助及び交付金」という費目で支払われます。ただし、いわゆる「助成金系」と「補助金系」では事務や注意点が異なります。
なにかの参考になりますように。