Alexis

東北大学の1年生です。

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たくさん本を読むことはいいことか

 日本人にも広く認知されているドイツの哲学者ショーペンハウアー(1788~1860)の著作の1つに『読書について』(鈴木芳子訳)という本があるのですが、ここではこの本を読んでいいなと思った一節を引用して感想を書き残したいと思います。哲学やドイツ文学には詳しくないので、ただ思ったことを。  「学者、物知りとは書物を読破した人のことだ。だが思想家、天才、世界に光をもたらし、人類の進歩をうながす人とは、世界という書物を直接読破した人のことだと。」という一節。ショーペンハウアーの主張

    • 「論理力とはコミュニケーションのための技術、それゆえ言語的能力のひとつであり、「読み書き」の力なのである。」 野矢茂樹『新版 論理トレーニング』産業図書 2023.  論理力は思考力ではない。思考のかなめは”飛躍”だ。”飛躍”をだれでも理解できるよう人に伝える力こそ論理力だ。

      • 自分のことがいちばんわからない

         お疲れ様です。「自分のことを一番よく知っているのは自分」という言葉、どこかで一度は耳にしたことがあるのではと思います。しかし、本当にそうなのでしょうか?   私たちは本当に自分自身を深く理解していると言えるのでしょうか? 心理学の有名な現象に「書字スリップ」があります。これは、ひらがなの「あ」を速く書き続けていると、無意識のうちに「お」になっているものです。この現象は、心理学の客観的な分析の意義を支えるものであり、つまり自分のことは自分が一番よくわかっている、という認識の

        • 秘密主義にかんする考察

           お疲れ様です。有名税という言葉があります。これは、有名になると経済的社会的にいい影響もあれば、見知らぬ人から中傷を受けたりとネガティブな面もあるという、ある種のトレードオフを表した言葉ですよね。  少し話が飛んで、われわれ人間はどのようにして中傷から心を守っているのでしょうか?ここでは、一般によく知られた心理的な防衛反応を網羅的に取り上げるというよりは、とりわけ「逃避」について少し考察をしてみたいと思います。  現実逃避は、おそらく多くの人がしたい、あるいはした経験があ

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        たくさん本を読むことはいいことか

        • 「論理力とはコミュニケーションのための技術、それゆえ言語的能力のひとつであり、「読み書き」の力なのである。」 野矢茂樹『新版 論理トレーニング』産業図書 2023.  論理力は思考力ではない。思考のかなめは”飛躍”だ。”飛躍”をだれでも理解できるよう人に伝える力こそ論理力だ。

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          芸人とヤクザは同じか?

           お疲れ様です。最近、宮迫さんと粗品さんの論争が話題になっていますが、宮迫さんがTVに出なくなった原因は、所属事務所を通さない闇営業でした。今回は、この芸能界と反社会的勢力の親和性について考察してみたいと思います。と言っても、芸能界の内情にせまるとか知っているわけではありません。ただ、歴史的にこの両者をみてみると、その関係性の一部分がよく見えると思います。  上岡龍太郎さんは生前、現役時代に「芸人とヤクザは一緒」という発言をしていました。これは皮肉な文脈で用いられたフレーズ

          芸人とヤクザは同じか?

          旅行をして何日か家をあけると、ふと帰りたくなる。そんなにいい場所だった覚えはないが。

          旅行をして何日か家をあけると、ふと帰りたくなる。そんなにいい場所だった覚えはないが。

          最近の本屋で見かけない、引き算の美学

           お疲れ様です。最近は、いろんな場所で本屋を訪れる機会が多かったので、そこでの気づきを書いてみようと思います。    今日、紙離れ、本離れと言われるようになって、出版業は縮小傾向にあるそうですが、それもあってか本屋に並ぶ本は、目を引くような装丁になっている気がします。というのも、表表紙、帯コメントと大きい文字が枠いっぱいに入り、きれいな柄やイラストで彩らている本の多さが、本屋を眺めていて印象に残りました。ここで私が一つ気になったのは、シンプルで余白の多い装丁の本が1冊もなかっ

          最近の本屋で見かけない、引き算の美学

          なぜ数学を勉強するのか?

            お疲れ様です。皆さんは数学をなぜ勉強すると考えていますか?「将来役に立つから」という方もいれば、「難しいから嫌い」という方もいるかもしれません。今回は、数学の根本的な性質から、その学習の意味について考えてみます。  例えば、因数分解ができても日常生活に役立たないから、意味がないと思っている人がいるとします。皆さんの中にもこのように考えている人がいるのではないでしょうか?数学の複雑な式を見ると、つい避けたくなったことがある人もいるかもしれません。一般に、これらは数学に対す

          なぜ数学を勉強するのか?

          検証と反証の非対称性

           お疲れ様です。今日はタイトルにある通り、検証と反証、一見裏表、対称に見えるこの2つの非対称性について書きたいと思います。    この事実は一般に科学における推論をめぐって展開された議論としてよく知られています。  この問題は、後件肯定は論理的に誤りで後件否定は正しいということに帰結できます。  後件肯定の誤謬の構造は以下の通りです: 前提1: 「もしHならばTである」(H → T)前提2: 「Tである」(T) 結論: 「したがってHである」(H) この推論の問題は、「T

          検証と反証の非対称性

          コインがずっと表でも、次のコインが裏になる確率は常に50%。過去の出来事は未来の確率に影響を与えない。良いことが続くと、人はつい『次は悪いことが起こる』と考えてしまいがちだが、確率は人間の心理とは関係なく、常に一定。

          コインがずっと表でも、次のコインが裏になる確率は常に50%。過去の出来事は未来の確率に影響を与えない。良いことが続くと、人はつい『次は悪いことが起こる』と考えてしまいがちだが、確率は人間の心理とは関係なく、常に一定。

          ここではないかんじ

           お疲れ様です。学生の人はもうすぐ夏休みで授業も大詰め、テストやレポートに追われているでしょうか?    私は仙台にある大学に通っているのですが、キャンパスを歩いていたり、街中で大学のロゴや旗を見かけるたびに、本当に自分はここにいるのだろうかと感じます。なんとなくふわふわした、言葉ではなんとも言えないような気持ちになります。なぜかと考えてもよくわからないのですが、大学生になるまで馴染みのなかった仙台へのアウェー感、「ここじゃないかんじ」が抜けていないのかもしれません。  自

          ここではないかんじ

          カフカ『審判』についての一考察

           お疲れ様です。つい昨日、授業課題だった、フランツ・カフカ『審判(=訴訟)』の読書レポートを書き終え、何とか期限内に提出することができました。今回は、まだ記憶の新しいうちに読書体験記的なものを残しておこうということで、フランツ・カフカ『審判』について、書いてみようと思います。    はじめにカフカのちょっとした紹介、『審判』について、まとめ、という順で書いていきます。 カフカについて  フランツ・カフカ(1883 - 1924年)は、現在のチェコ出身の小説家で、20世紀を

          カフカ『審判』についての一考察

          「でも、人間ってものはね、誰でもみんな、なにか教訓したがるのよ。教訓にすることといえば、ろくでもないことばかりのくせにね。」エリザベス・ベネット ジェイン・オースティン『自負と偏見』中野好夫訳

          「でも、人間ってものはね、誰でもみんな、なにか教訓したがるのよ。教訓にすることといえば、ろくでもないことばかりのくせにね。」エリザベス・ベネット ジェイン・オースティン『自負と偏見』中野好夫訳

          名言とは何か?

           お疲れ様です。今回はいわゆる「名言」について考えたことを述べようと思います。  私は、世の中にはたくさんのすばらしい名言があるとよく感じます。例えば、 は、パスカルの残した言葉としてよく知られています。この言葉は大変有名で多くの本や記事でも引用されており、原文も『パンセ』という彼の著作の中で見出すことができます。この例は、ある名言を誰が言ったのか、明確にわかっています。    次に、 という言葉は、キケロのものとして広まっているようです。少なくともネットで調べると、お

          名言とは何か?

          自分だけが知っている、なんとも言えない愉悦

           お疲れ様です。皆さんは、SNSで偶然、友人のアカウントを見つけてしまった経験があるのではないでしょうか。その瞬間、相手は知らない情報を手に入れた優越感と、少しの罪悪感に包まれ、すこし奇妙で、なんとも言えない感情になるのではないでしょうか。  私たちは、知りたいという欲求と、知られたくないという欲求を同時に持ち合わせていると思います。特に、内気な人は自分の情報をあまり人に開示したがらない、それは、自分の情報を隠すことで、相手との情報格差を作り出し、優越感を得ようとする心理が

          自分だけが知っている、なんとも言えない愉悦

          人間はなぜ本を読むのか

          この記事は、Geminiによって生成されました。   お疲れ様です。世の中では、一般に実学がもてはやされ、実学でない学問分野は下に見られがちな気がしています。例えば、文学。    自分は「実学か非実学か」という二元論的な視点で学問を分類するのはナンセンスだと考えています。  まず、なぜ文学作品を読むのでしょうか。それは、単純に面白いからです。ストーリー、魅力的な登場人物、素晴らしい表現などなど。あげればきりがないですが、まるで自分が物語の中に飛び込んだかのような、非日常的な

          人間はなぜ本を読むのか