死せるクトゥルフ、ルルイエの館にて、夢見るままに待ちいたり。
今年も世界的幻想小説の大家ハワード・フィリップス・ラヴクラフト(別名:H.P.ラヴクラフト)の生誕日がやってきます。
ハワード・フィリップス・ラヴクラフト(英: Howard Phillips Lovecraft、1890年8月20日 - 1937年3月15日)は、アメリカ合衆国の小説家。怪奇小説・幻想小説の先駆者の一人。生前は無名だったが、死後に広く知られるようになり、一連の小説が「クトゥルフ神話」として体系化された。ラヴクラフトの創造した怪神、異次元の神、神話体系は世に広まり、現代のコリン・ウィルソンたちや「SF宇宙冒険物」に大きな影響を与えている。ゴシック小説やエドガー・アラン・ポーなどの系譜に連なる、独特な恐怖小説や先駆的サイエンス・フィクション(SF)の作者として、近年顕著に再評価されつつある。(Wikipediaより)
未だに新しく映画化もされるラヴクラフトですが、大好きな私自身でさえ40代になるまで手が出なかったのは古い小説だからです。そんな古いもの読んだってつまらないに決まっている。原書を読むわけではないにしても、やはり表現は古い。しかしそこが良いとも言えます。その古臭い言い回しが妄想を膨らませる材料にもなります。これを楽しめるというのは大事。
ここに3名の不思議と良く似た風貌の男性がいます。左端はご存じ俳優の嶋田久作さん。中央は日本の作家・夢野久作。そして右がハワード・フィリップス・ラヴクラフトです。嶋田久作さんはその風貌からこの二人の作家の名前を使った芸名を薦められたそうです。
夢野久作と言えば「ドグラ・マグラ」など怪奇幻想の色濃い作風で名高く、そしてラヴクラフトとはたった1年違いで生まれ、亡くなっています(夢野 久作 1889年1月4日 - 1936年3月11日)。もちろん、こんな時代に二人の交流があるわけもなく、互いのことも全く知らなかっただろうことは想像に難くない。同じ時代の日本と米国で同じような顔した二人が同じような幻想小説を好んで書いていた奇遇。面白いです。
上で紹介した青空文庫でも読める大作「狂気の山脈にて」を読んだイメージはリドリー・スコット監督の『エイリアン』です。それで良く考えてみたら、エイリアンの造形を作ったHRギーガーさんは名前からしてラヴクラフトのオタクです。画集のタイトル「ネクロノミコン」はラヴクラフトの作品内に登場する架空の奇書のこと。色々なところに共通項が見つかって楽しい。私が大好きな映画監督ギレルモ・デル・トロは同い歳ですが、彼はこの「狂気の山脈にて」を映画化しようとしていました。しかし、イメージを膨らませようとすると結局は『エイリアン』のようになってしまうから断念したとかしないとか…
『蔭洲升を覆う影』(いんすますをおおうかげ)は、脚本家の小中千昭による短編小説。クトゥルフ神話の1つで、1994年に発表された。ハワード・フィリップス・ラヴクラフトのホラー小説『インスマスを覆う影』を、日本を舞台に翻案した。1992年8月25日にテレビ放映されたTBSドラマを、脚本家自ら小説にしたもの。学研の『クトゥルー怪異録』に収録された。小中千昭にとっては最初の小説作品である。
TBSの『ギミア・ぶれいく』枠でオカルトドラマをやった際に、佐野史郎は『インスマスを覆う影』はどうすればできるかを考え、TBSの関係者と意気投合して盛り上がっていた。そうしているうちに、佐野出演の『ずっとあなたが好きだった』がヒットしたこともあり、主演企画が実現する。佐野が千葉県の南房総を訪れた際に、魚料理の生臭さにインスマスを連想した体験がきっかけとなったという。ロケは福島県いわき市の近くで行われた。
アニメ監督の宮崎駿が「風の谷のナウシカ」を漫画化する時に多大なる影響を受けた漫画家・諸星大二郎を私も昔から大好きですが、彼の世界観にもラヴクラフトの影響が少なからずあるように思えます。また、ラヴクラフトを漫画化したこともある水木しげるの一番有名なキャラクター「鬼太郎」が「クトゥルフ」の言い換えではないかという噂があります。
鬼太郎>きたろう>キトゥロウ>クトゥルフ…
そしてラヴクラフトと同じ誕生日の私の顔は面長ではなく、残念なことにオサカナのような丸顔です。いあ いあ くとぅるふ ふたぐん…