ヴァンパイアの話。バンパネラ、バンパイヤ、あるいは吸血鬼。もっと古くはドラキュラ伯爵…
綾野つづみさんの『イグアナの娘』の記事に触発されて、昔書いた記事をリライトしました。本記事は終了したクックパッドブログで2018年7月31日に書いた内容です。
最近やっと『ポーの一族』の再読を始めたので、自分の思いつく範囲(所有)でヴァンパイア関係の作品を並べてみました。他にも沢山あるかと思いますが、彼らより格上のヴァンパイアはいないのではないかと。
萩尾望都の『ポーの一族』が好きな方は、もしかすると最初から気づいていたのかも知れませんが、今読んでいてやっと気づきました。映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(原作はアン・ライスの小説「夜明けのヴァンパイア」)のキャラ設定が恐ろしいくらい似ていたということに。作品を両方持ってるのに今まで気づかなかった。
映画の主要な登場人物であるレスタト、ルイ、そしてクローディア。この三名は、『ポーの一族』のエドガー、アラン、メリーベルに被ります。それぞれの作品で少女が物語の途中に死ぬところまで似ています。(クローディアが子役時代のキルスティン・ダンストだと知ってた人はいますか?ちょっとトリビアですよ)
アン・ライスは誰かから教えられていなければ、たぶん知らないと思いますが、萩尾望都先生は恐らく気づいたでしょうね。
一応ネットでパクリ疑惑のような話は出ていましたが、作品の開始時期はほぼ被っており、同時期に『夜明けのヴァンパイア』を原書で読み真似た可能性も、また1970年代に翻訳された『ポーの一族』が海外に存在するとも思えません。つまり偶然の一致と考えるのが妥当です。そして物語はまるで別物です。そもそも『ポーの一族』の彼らは子供の姿のまま成長しません。
データを並べてみます。創作時期はほぼ被っています。
萩尾望都(1949年5月12日生)
『ポーの一族』(1972年-1976年連載)
アン・ライス(1941年10月4日生 )
『夜明けのヴァンパイア』(1973年脱稿、1976年出版)
さて私も一番好きな吸血鬼映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア(1994年)』ですが、最も有名なエピソードと言えば、原作者アン・ライスがトム・クルーズのキャスティングに怒ったという話です。
それだけなら良くある話ですが、出来上がった映画を観たアン・ライスは映画とトム・クルーズのレスタトをとても気に入り、雑誌に見開きの謝罪広告を出したそうです。こういう人好きだなあ。
しかし日本では、映画は好評だったもののアン・ライスの名前はただの原作者として知られるだけに留まり、ライフワークのように続くヴァンパイア小説は全く売れなくなったそうです。
たぶんですが、人気が上がらなかった一番の理由は彼女の作品がつまらなかったのではなく、日本でそういったジャンルは漫画やアニメ、ライトノベルの読者層だったからではないかと思います。映画ファンとファンタジー小説の読者はほぼ被っていないのでは。
欧米各国では今も人気作家だそうです。
ヴァンパイア映画好きでアメコミの映画化である『ブレイド(1998)』を知らなければモグリです。
手塚治虫の漫画及びTVドラマ『バンパイヤ(1966)』は昔の吸血鬼映画と同じくらい古いですが、主役は吸血鬼ではなく狼男です。モンスター化する一族を総称して“バンパイヤ”と呼んでいます。そうすると、本来であれば平井和正の作り出した不死身のヒーロー、ウルフガイの犬神明も紹介するべきですが、今回のテーマはあくまでもヴァンパイアなので、またの機会に。
大事な人を忘れてた。
『BLOOD THE LAST VAMPIRE』という一連の作品には、TVとかゲーム、実写など色々ありますが、見応えがあるのは最初のアニメ映画だけです。アニメなのに恐いくらい迫力があります。小夜(さや)はブレイドと同じく自身もヴァンパイアでありながら人間の側について吸血鬼狩りをします。
そういえば菊地秀行の小説『吸血鬼ハンターD』シリーズも人気作として有名でしたね。OVAはネットで少し観ましたが、今イチはまりませんでした。原作は未読。「vampire hunter D」で動画検索をかければ沢山アップされており、日本語の動画がフルで観られます。YouTube内の動画なら、何の不安もなく鑑賞できるでしょう。
私たちの世代で吸血鬼“ドラキュラ”として強烈な存在感を持っていた名優クリストファー・リーは2015年に亡くなってしまいました。ロード・オブ・ザ・リングのサルマンや、ドゥークー伯爵も大好きでした。
ヴァンパイアはファンタジーとしては面白いキャラクターですが、宗教的な発想なくしては生まれなかったモンスターという気がします。もう少しその存在理由に必然性が欲しいところです。
最後にずっと観たいと思っている面白そうなヴァンパイア映画をご紹介しましょう。(2022年時点では鑑賞済。良く出来た低予算のB級ホラー)