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PBRPainterについて


PBR Painterの概要

PBR Painterは、Blender内でPBRテクスチャリングを簡単に行えるように設計されたアドオンです。機能的にはAdobe Substance Painterに似ています。

・3Dモデルに直接描くようにテクスチャリングができます。
・2Dペイントソフトのようなレイヤーベースのシステムを採用していて、
 レイヤーのマージや合成モードもあり、マスクを描いたりもできます。
・PBRマテリアルに使われるチャンネル(拡散、粗さ、変位、法線、放出など)
 をペイント編集できます。

最終的には作成したテクスチャをベイクして、マテリアルとして使用する
フローまで設計されています。
他ソフトと行ったり来たりしなくていい点が嬉しいポイントです。


インストール

プリファレンスからダウンロードしたzipファイルをインストールします。
執筆時点では拡張機能ではなくアドオンとしてインストールを進めます。
(Blender4.2以降の話)

基本的なワークフロー

テクスチャ系アドオンですので、一般的なテクスチャリングのフローと大きく変わりません。最初は下記の流れで進めるといいでしょう。

1.マテリアルの設定
2.レイヤーの追加
3.ベイク
4.エクスポート

UIについて

プリファレンスのアドオン画面にあるPBR Painterの設定欄には、
「Load PBR Painter workspace」というボタンがあります。
これを押すと独自のワークスペースが開きます。

ペインティングにおける各操作がやりやすいワークスペースになります。

マテリアル作成とレイヤー

PBRPainter3でのレイヤーの操作方法を見ていきます。
主にマテリアルの設定、プロパティの管理、マスキングの適用、ブレンドなど、レイヤーの基本的な側面について解説します。

マテリアルを作成する

PBRPainterで新しいマテリアルを作成するには、「フェイクユーザー」を使用して設定していきます。フェイクユーザーとは未使用データであってもBlendファイルにマテリアルデータを保持しておくBlenderの機能です。

まずはマテリアルを作成します
フェイクユーザーにチェック
盾のアイコンがフェイクユーザーのオンオフになります
フェイクユーザーマテリアルは頭にFが付きます
0は未使用のデータです


レイヤーを作成する

レイヤーには2種類のモードがあります。
Filled(塗りつぶしレイヤー)とPainted(ペイントレイヤー)です。

レイヤータブのLayersアイコンから新規作成ができます

Filled
 テクスチャ全体に効果を付けるレイヤーです。
 シェーダー割り当てでオブジェクト全体にテクスチャリングする場合
 生地の柄や自然物などに有効です。

Filledは塗りつぶしレイヤーとなります

Painted 
 部分的にペイントを施して効果を付けるレイヤー
 UV展開済みのユニークモデルなど1枚の中に複数の模様や色を指定したい
 テクスチャリングをする場合はこちらが有効です。

Paintedはテクスチャに塗るレイヤーになります
テクスチャサイズを指定してOKを押します

レイヤーを作成すると、
カラー、メタル、粗さ、ノーマル(法線)、高さ、スペキュラ、エミッシブ、アルファの8つのボタンが出てきました。
これはテクスチャを構成するチャンネルマップです。

塗りたいチャンネルを選びます
どちらのモードでも出てきます

カラーは色情報を、メタルは金属性情報をもつチャンネルになります。


マスクを作成する

メインタブにあります

マスクを使用すると、テクスチャを正確に適用できます。
はみ出した部分の修正やココだけペイントしたいという時に使います。
基本的にマスクは白黒のグレースケールのマップを使って、強度や範囲を決めていきます。

PBR Painterに搭載されているマスクの種類は色々あります。

プリセットはこんな感じです

スマートマスク
錆、エッジの摩耗、風化などの効果を実現できるマスク類です。
いくつかプリセットが用意されていてパラメータで調整ができます。

プロシージャルマスク
ノイズ、ボロノイなどがプリセットで用意されています。
汚れや傷などの有機的な効果を作成できます。

Geometric・画像マスク
Geometricマスクはオブジェクトの幾何学に依存します。
画像マスクを使用すると、ユーザーはカスタム画像をインポートして、カスタマイズされた効果を得ることができます。

グラデーションマスクとアンビエントオクルージョンマスク
シェーディングやライティングの効果を追加するマスクです。

スタッキングシステム

レイヤースタッキングシステム

Photoshopと同じようにレイヤースタッキングシステムを搭載しています。
下地を描いて、本着彩といった基本的なフローのペイントが可能です。

マスクスタッキングシステム

レイヤーと同じようにマスクにもスタッキングシステムがあります。
1つのレイヤー内に複数のマスクを適用し、詳細なマスクを作成できます。
また、スタック内の各マスクは、ブレンドモードが使えます。


ベイク

レイヤーやマスクをスタッキングして作った複雑なマップを集約しテクスチャとしてマテリアルに焼きこみます。
冒頭のフェイクユーザータイプのマテリアルにすることで他のプロジェクトでも使用が可能になります。他にも計算負荷を軽減する効果も見込めます。
ベイキングタブには多くの機能が備えられています。

ベイク用のタブが用意されています

ベイク設定の保存と読み込み

アドオンの設定にベイク設定を保存でき、高速な再読み込みが可能です。

ファイルの命名とパス

ファイルの解像度、チャンネルタイプ、マテリアル名など、ベイク処理されたテクスチャが整理されるように命名規則を制御します。

メッシュマップのベイク

テクスチャやマスクで使用できるモデルの形状の情報をマップ化したものです。モデル形状に沿うマップなのでユニークモデルで使う事が多いです。

メッシュマップは1度ベイクするとその後色々なレイヤーに適用できます。

こんな感じです


イメージ解像度とサンプル

解像度を選択し、サンプル数を調整してイメージの品質を制御します。
サンプル数が多いほどノイズは減りますが、ベイク時間は長くなります。
アンビエントオクルージョンや複雑なマテリアルに特に役立ちます。

チャンネルの自動・手動選択

マテリアルをベイク処理するときは、自動または手動のチャネル選択を使用できます。自動選択は迅速なベイクに適していますが、特定のチャンネルやパッキングが必要な場合は手動選択が便利です。

自動選択
 マテリアルで使用されるチャネルを自動検出してベイク処理ができます。
手動選択
 必要なチャンネルを手動で選択し、ベイク処理に含める設定ができます。

レイヤーの結合(マージ)

レイヤーのマージは計算負荷を軽減する強力なツールです。
特に大規模なシーンや複数テクスチャを使用している時に便利です。

1つのレイヤーに出力する
 表示レイヤーが結合されます、負荷が減り、後の動作が早くなります。

マテリアルバックアップ
 
マージする前にバックアップを保存し、あとで元に戻すこともできます。

マスクのベイクと結合(マージ)

プロシージャルマスクや画像マスクもベイクやマージができます。
計算負荷が軽減されます、マスクベイクも似た機能があります。

解像度とサンプルの設定
 マスクの解像度とサンプルを調整して品質を制御できます。
マスクレイヤーの結合
 複数のマスクレイヤーを1つのマスクイメージに結合します。
 マスク効果が統合されるので、パフォーマンスがさらに向上します。

機能テストを兼ねてパパっとキノコ塗りました


あとがき

「もうSubstancePainterじゃなくてもいいかもしれない」
そんな風に思わせてくれるアドオンでした。
テクスチャリングフローを網羅していて、多機能で覚える事が多いアドオンですが、SubstancePainterのような独自ソフトを1から習得するよりは学習時間が短く済むと思います。Blenderだけで完結できるのは良いですね。
テクスチャをよく描く人は触ってみてもいいかもしれません。

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Blenderのアドオンも増えてくると管理が大変になるので、
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