TurboRenderでレンダリング速度UP!
Turbotoolsって何するアドオンなの?
TurboToolsは、低サンプルでレンダリングを行っても綺麗な結果を得ることができるレンダリング時短アドオンです。
ラフなシーンから、精度の高いコンポジット作業の素材としての出力まで、様々なシーンレンダリングで使えるユーティリティアドオンとなってます。
アドオンの機能としては大きく3つの柱で構成されています。
・Turbo Render
低サンプルから綺麗なレンダリングを行い、アウトプット速度を早めます
・Turbo Comp
出力データをコンポジット加工して再出力する際に便利な機能があります
・Temporal Stabilizer
ノイズ除去された動画からちらつきを除去することができる機能です
TurboRenderの方は、低サンプルでレンダリングを行い、独自のデノイズをかけて綺麗な画を出すという仕組みになっています。
特に通常レンダリングだと数時間かかるような複雑なシーンに適していて、格段とレンダリング速度が上がります。
TurboCompの方は、ポストプロダクション後に役立つ機能があります。
例えば、一度レンダリングしたものにコンポジットを行ったものは、再レンダリング無しでアウトプットできる機能などがあります。
Temporal Stabilizerは、デノイズされた動画からちらつきを除去します。
動画書き出しにおけるちらつきは、オブジェクト・マテリアル・カメラなど要素次第でどんなシーンでも起こり得るものです。
通常、ちらつき除去を組み込んだレンダリングは長い時間が発生しますが、
複雑な動画でも簡単にスピーディーに処理できるようになりました。
こんな方は検討の余地あり
プロ・アマを問わず普段からCyclesレンダリングを頻繁に行う方や
動画制作される方にオススメです。
価格は高価格のアドオンですが、レンダリングコスト(待ち時間や電気代、PC負荷、修正など)を考えると充分に価値を実感できると思います。
TurboCompの機能・よくある質問についてはこちらもご一読下さい。
・購入を検討されている方
・買ったけどなんとなく使っている方
・使い方が複雑で分からない方向けの記事です。
Turbotoolsの使用比較
公式から引用です。
レンダリングに掛かった時間や、書き出された品質が分かりやすいです。
基本的なアドオンの事前知識として
推奨PCシステム要件
アドオンでは珍しくシステム要件が定義されています。
下記は公式からの抜粋です。
推奨最小システム要件
■CPU
4Ghz以上で動作するクアッドコア
マルチスレッド処理なので、コアは多ければ多いほど○。
スペック・コア数的に下位モデルだと処理時間がかかる場合があります。
■RAM
1080pレンダリングの場合、3~4GBの空きメモリが必要です
(メモリ要件は、レンダリング解像度を2倍にするたびに4倍になります)
4kレンダリングでは、約12~16GBの空きメモリが必要です。
RAMが足りなくなるとハードドライブが使用され、非常に遅くなります。
■OS
制限なし
■ハードドライブ容量
キャッシュファイル用の十分な容量
16ビットの場合、レンダーレイヤー・ノード1フレームあたり約50MB+標準30%キャッシュ・ノード1フレームあたり5MB
キャッシュフォルダを指定しておく
アドオンのプリファレンス・プロパティ画面にキャッシュフォルダを設定する項目があります。
相対パス(//から始まるパス)ではなく、
絶対パス(ドライブ名 :\ から始まるパス)にします。
これを設定しないと、アドオンを使ったレンダリングはできません。
V4で追加されたTemporal Stabilizer
テンポラルスタビライザーという機能がV4版から付きました。
動画(アニメーション)を出力する時に、ちらつきなどを抑えて品質の安定化を図る機能となっています。
動画制作やアニメーションでも活用できるようになりました。
TurboRenderの速度に関する部分
アドオンを使わない場合の通常レンダリングのサンプル数が256とします。
TurboRenderをオンにして使用する時は256より小さい値を設定します。
基本的にサンプル数が低い程、速度向上が可能となります。
仕組みとしてはサンプル数が低い値で出力されるとノイズが多くなるのですが、アドオンが解析してデノイズして出力するようになっています。
なので、レンダリング速度が速いシーンは大幅な時間短縮は望めません。
大きくレンダリングに時間がかかるシーン程、恩恵を受けられます。
最初はプリセット設定を「高速/ドラフト」ノイズ除去モードで使用します。
TurboRenderはどんなレンダリングに使える?
・静止画
・アニメーション
・コンポジターツリーの出力
・単一のコンポジターから複数のシーンとビューレイヤーの出力
(すべてのシーンはTurboRenderの設定を使用します)
・すべてのTurboComp機能
(キャッシュ、公開、再レンダリングなしでファイル出力の保存など)
TurboRender使用の流れ
基本的な手順は
1.TurboRenderオプション領域で、有効化をオンにする。
2.サンプルプリセットを選択して、任意の品質に設定する。
3.必要な項目にチェックを入れ、シーンを指定してレンダリングする。
となります。
デノイズモードの設定
ドラフト(デノイズされた画像のみ)
ドラフトモードは、高速なノイズ除去がついています。
「Enhance Textures / reflections(テクスチャの強化)」オプションと組み合わせると、非常に低いサンプル数でもある程度は綺麗に出力してくれます。
処理時間が速く、10秒以内でノイズ除去できる位のシーンに適しています。
中(デノイズされた画像のみ)
中オプションはドラフトよりもわずかに遅くなりますが、ノイズの多い画像で特に反射部分において、全体的なディテールが向上します。
高(デノイズされた画像のみ)
ウルトラモードを以外の中で、最高の照明、影、反射が得られます。
合成にノイズ除去されたパスが必要ない、Blenderで完結させるタイプの最終レンダリングに適しています。
ウルトラ(必要なパスをすべてクリーンアップ)
後工程としてコンポジター(あるいは他の合成ソフト※注意点あり)で、使用するために個々のパスをクリーンアップして出力します。クリーンアップされるパスは、シーンの内容とレンダリング設定によって決まります。
他モードでジオメトリのディテールが適切に生成されない時も有効です。
後工程でコンポジットする時の注意点
個別にクリーンアップされたパスをAfterEffects等のサードパーティ製コンポジターで使用する場合は注意が必要です。
A.設定したキャッシュフォルダーにあるレンダーレイヤーキャッシュEXR形式を使用します
B.または、レンダーレイヤーノードから直接ファイル出力ノードを設定して別の形式に出力したものを使用できます。
Blenderの出力はFFmpegのような動作が軽いものに設定できますが、これはデノイズされた画像パスのみを出力でき、他のノイズ除去パスは出力できないので、コンポジット用途の画が出力できないからです。
また、パスにcryptomattesなどのデータパスが含まれている場合は、EXR32ビットを使用することをお勧めします。
32ビットは8,16ビットに比べて階調が多く、色情報が広いデータです。
Cycles Speedup設定
HDRIを最適化
マップ最適化・RAM使用量の削減がされるので、レンダリングを高速化する可能性があります。ただし、8Kサイズ以上のHDRI環境が一番効果があったため、それ以下のHDRIを使用した場合は大きな結果は出ないかもしれません。
16Kサイズだとレンダリング中のメモリ消費が約1GB削減されたようです。
Prevent Fireflies
推奨項目とされています。
Firefly現象(日本ではホタル現象と呼ばれる光の斑点)が発生する可能性が減り、レンダリング時間が大幅に短縮される可能性があります。
強いライティングを行っているシーン等で有効かもしれません。
サンプルプリセットについて
あらゆる状況に適した品質レベルのレンダリングプリセットです。
希望する品質を選択してレンダリングするだけです。
モードには、Crap、Medium、High、Ultra、Insane、Userがあります。
crap 低画質
medium 中画質
high 高画質
ultra 最高画質
な感じで使い分けていますが、低画質が頻度が多いです。
アニメーションの場合は、高速静止画像用に最適化されている独自のサンプル設定を使用することをお勧めします。これをアニメーションに使用すると、フレーム間で不一致が生じる可能性があります。
その他のオプション
Very Dirty!
非常に低いサンプルを使用している場合や、デノイズ後の画像にノイズが残っている場合に使用します。
Interior Scene
室内シーンや間接照明の多いシーンでより良い結果が得られるように
レンダリングプリセットを調整します。
Animation
アニメーション用に選択したサンプルプリセットを最適化します。
動画書き出しの時はチェック入れておきましょう。
Enhance Textures
非常に低いサンプルでもテクスチャのディテールが維持されるようにします。 ドラフトモードでは、反射や影も改善されます。
カメラに映す範囲の設定
Visible to Camera
オプションを設定して、カメラに見える範囲を指定します。
これを他のレンダリング設定(光の反射、フィルムなど)と組み合わせることで、システムは最適化されて最良の結果を得ることができます。
処理時間を縮めるには、不要なものをオフにします。
Heavy DOF / Motion Blur、Volumeやそのサブオプションは必要な時だけ
チェックを入れましょう。
Problem Solving
もし通常レンダリングの問題が出てきた場合に自動的に修正する機能です。
artefacts or loss of detail
アーティファクトが発生した、ディテールが損なわれた時にチェック
bright pixels after denoising
デノイズ後に明るいピクセルがあらわれた時にチェック
機能的にこれらはレンダリング速度や光沢レベルに悪影響を及ぼします。
問題ない場合は無効のままで大丈夫です。
使用前のチェックリスト
低サンプルプリセットの使用
シーンに対してなるべく低いサンプルプリセットを選択します。
Turbo Renderの速度向上は、通常使用するよりも低いサンプルを使用した場合にのみ達成されます。
サンプル数の探り方
シーンの画の中で、ノイズが最も多そうな部分を見つけます。
そこを部分レンダリングをしながら、最適なサンプル数を見つけます。
数値が決まったら部分レンダリングを解除して、レンダリングを行います。
日本語版で使用する場合の注意
Blenderを英語以外の言語に設定している場合は、選択した言語で新規データの翻訳オプションのチェックを外す必要があります。
他アドオンでも起こり得ることですが、一時的にアドオン内部で新しいデータがプログラムされます。もし新規データの翻訳を有効にしているとBlenderが正しいプログラムが読めずにエラーが出ます。
プリファレンスで言語設定を確認しておきましょう。
キャッシュフォルダーのパス設定
キャッシュフォルダー設定は'//something/'のような相対パスは動きません。
c://something/something/'のようなドライブ名から始まる絶対パスである必要があります。
Very dirty! にチェック
低サンプルでレンダリングを行う場合は'very dirty'が有効にします。
デノイズ後にもノイズが発生してしまいます。
Visible to Cameraのサーフェス
シーン内のサーフェスタイプについて、いずれかのセクションにチェックが入っていることを確認してください。
また、シーンにないパスにはチェックを入れないでください。
レンダリング時間が長くなる要因になります。
DOF / モーションブラーのノイズ
DOFやモーションブラーがあるシーンでは、'Heavy DOF/Motion Blur'の
オプションにチェックを入れてください。
シーンにDOFがあるかどうかは、手前や奥にあるオブジェクトが焦点に比べてぼやけているかどうかで判断できます。
HDRIの解像度は4K以上以下?
ワールド環境でHDRIを使用していないシーンや、HDRIの解像度が幅4096ピクセルより低い場合は、'optimise HDRI'を有効にしないようにしましょう。
非常に強いライトやHDRIの対処
非常に強い照明やHDRIがあるシーンでのみ'avoid fireflies'オプションを使用しましょう。ハイライトや反射の明るさに影響が出ます。
プリンシプルBSDFのSheenは避ける
最適な結果を出すためには、プリンシプルBSDFのSheenは避けてください。
レイヤーウェイトとベースカラーのミックスノードで代用できます。
あとがき
使う人を選ぶアドオンです。
書き出しにあまり時間が掛からない、複雑ではないシーンレンダリングが
多い方は恩恵が少なく、宝の持ち腐れとなりそうです。
V3時代からアドオンを使っていましたが、本格的に使い始めたのはV4にアップデートされてからです。V4で動画書き出しの品質が大きく向上しました。
私は動画制作でBlenderも使いますが、すでにどれ位の時間を節約できたか分かりません。修正が発生するたびにシーンレンダリングをやらなくて良い点が大きな恩恵をもたらしています。
高価なので万人受けではありませんが、Cycles動画書き出しを行う方には
かなりオススメできます。
購入はBlenderMarketから
購入先はBlenderMarketがオススメです。
・年に数回セールをしている
・アップデートの通知設定がある
・購入時期やダウンロードファイルが分かりやすい
Blenderのアドオンも増えてくると管理が大変になるので、
後々の事を考えると一番使いやすいサイトだと思います。