桑原茂夫さんとお喋り3~マイナンバーカードと松本清張&スノーデン
話題がマイナンバーカードのことになりました。
私が、「つい先日、マイナンバーカードを返納したんですよ。」とお話しすると、桑原さんは「そもそも、なんであんなもん作ったのよ(笑)」とからかいながらも、「ぼくはあれが導入されたとき、すぐに“徴兵のためでは?”と思ったよ。」とお話しくださいました。
現在、マイナンバーカードに健康保険証としての機能も付加されようとしていますが、病院の受診記録、健康診断などの記録がこのカードに紐づけられれば、もしまた徴兵制が復活した時に、徴兵検査をしなくとも身長・体重・病気の有無の把握などが簡単にできるようになるため、その下準備ではないかと感じたそうです。
また、「こんなことも懸念される」という例として、松本清張の『遠い接近』という小説を教えてくださいました。
つまり戦時中において、誰に召集令状を送り付けるか決めていたのは、最終的には地元の役所の担当者であって、もしかしたらそこに私怨が絡んでいたのでは?…という疑惑を、この小説では取り上げているのです。もしマイナンバー制度による各種紐付けでその人の健康のことやその他もろもろが役所の人から(見ようと思えば)見られる状態になれば、そのような場合に悪用される可能性が生じてきます。
太平洋戦争末期の日本では、東京大空襲(1945年3月10日)でほぼ負けが確定してから終戦までの5か月の間にも、たくさんの人が戦地に送り込まれました。たいした武器も食料もない戦いを強いられ、つい昨日まで一般人だった人たちが、名ばかりの兵士として、ただただ亡くなりました。このような局面で、役所の担当者はどのような基準で誰を「戦地送り」にしたのでしょうか? 明確な選定基準がなく、担当者が恣意的に選んでいたとすれば、これは大問題ではないでしょうか。
そこで、「これもぜひ見てよ。」と貸してくださったのが、映画『スノーデン』のDVD。
家に帰ってきてから見たのですが、これは恐ろしい…!個人情報がこんな形で監視され、罪のない個人を陥れるためにすら使われていたとは…!
「でね、ぼく、徳島の市役所に取材に行ったのよ。」と桑原さん。どうも、徳島市で3月に起こったマイナカード紐づけミスについて、現場まで取材に行かれたようなのです。
「役所の人、この危険性がよくわかっていなかったよ。」…と、桑原さんは軽々とおっしゃいましたけど、私は桑原さんのそのバイタリティに本当に頭が下がったし、あらためて尊敬の気持ちが湧き上がったのです。わからないこと、疑問に思うことは、絶対にその根元まで行って自分の目で見てくる。このスタンスが一流たる所以なのだと、ひしひしと感じました。
そうやって、長年「真実を見る目」を磨いてこられた桑原さんのお話は、何をお聞きしても本当に楽しく、鋭くて、とても魅力的です。
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