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【本日発売】『京大短歌30』(前号評:東直子/座談会:大森静佳・吉川宏志他)

▶詩作勢・俳句勢の皆さんも楽しめる一冊♪

 京都大学短歌会 会員誌の最新号『京大短歌30』が、本日発売になりました。前号『京大短歌29』に引き続き、最新号も当店で取り扱わせていただけることになりましたので、ご紹介いたします。
 前号を読ませていただいて、すっかり「京大短歌」のファンになった私。店主というより一読者として最新号を楽しみに待っていたのですが、いやぁ、今号もめっちゃ楽しい! 詩や俳句をお作りになる皆さんにも、是非おすすめしたい一冊です。
 以下に目次をご紹介いたします。


『京大短歌30』目次

▶︎巻頭エッセイ/津崎一加

 大学入学を機に京都に移り住んできた。この四年間をどう過ごしたいですか?と問われることがしばしばあって、長い旅だと思うようにしたいです、と心の中で答える。

津崎一加 巻頭エッセイより
『京大短歌30』p.2

 上記はエッセイの冒頭部分。大学生活を一種の「旅」ととらえて、今までの生活との差異を言葉にしていきたいとする筆者。真摯な姿勢が素敵なエッセイです。

▶︎会員連作

寄稿者41名。全員のお名前は、販売ページにてご覧ください。

▶︎OP連作

寄稿者16名。全員のお名前は、販売ページにてご覧ください。

▶︎評論 実景なくして幻想なし/早瀬はづき

 「幻想的」といわれる川野芽生の短歌についての考察。筆者は川野作品の構造を3パターンに分けて分析し、ある意味、歌人が一首仕上げるまでのアプローチ方法について解き明かしてくれています。詩や俳句の分野の方にとっても、ヒントがいっぱいの内容。

▶︎前号評/東直子

 前号『京大短歌29』をまだお読みでなくてもとてもおもしろく読めますが、当然ながら、前号をお読みになってからの方が何倍もおもしろいです。前号も当店にて販売中ですので是非ご入手ください。

▶︎京大短歌30 記念座談会「韻律と定型のゆらぎー学生短歌のいま」

ゲスト:大森静佳・吉川宏志
進行:早瀬はづき・金井優々
司会:森井翔太
ナカジマシン・津島ひたち

森井 会誌「京大短歌」も30号の節目ということで、学生短歌会にかぎらず、幅広く学生短歌について語ろうということで今回はお集まりいただきました。三つのテーマ、一つ目が学生短歌、若い世代の特徴的な文体や韻律感覚について、二つ目が学生の短歌の発表の場として機能するSNSと結社離れについて、最後に三つ目が賞について、学生は賞に出すべきなのかという点で話していきたいと思います。

京大短歌30 記念座談会より
『京大短歌30』p.125

 この企画は非常〜におもしろかったです!短歌の世界の歴史的深さや、現代の歌人の特徴などを幅広く感じることができ、たいへん勉強になります。
 文中の小見出しは以下です。

  • 句またがりの現在

  • これからの文語

  • 文体は似ているか

  • 語順の効果

  • 結社離れとSNS

  • SNSにおける短歌

  • 「わかりやすさ」をめぐって

  • 結社とコミュニティの意義

  • 新人賞の意義

  • 設定と表現の関係性

  • 新規性をめぐって

  • 恋の歌をめぐって

  • さいごに

▶︎題詠しりとり

お絵かきしりとりと同じ要領で、前の歌の題を推測しつつ、その題にしりとりで繋がる単語を題として自身も題詠をする、という企画です。題の推測が容易な歌も難しい歌も入り乱れ、四苦八苦する会員の様子をお楽しみいただければと思います。

題詠しりとり リード部分
『京大短歌30』p.137

 本当におもしろいことを考えますね!(それともこういう遊びがあるのかな?) はじめの2首を読んでルールを了解したので、あとは答えを見ずにクイズ気分で読ませていただきました。

孟冬の底へ青菜を手に取れば咳きこむように湯の煮立つ鍋
布野割歩

布野割歩 題詠しりとりより
『京大短歌30』p.137

 この第一首目は作品としても大変素晴らしいですが、何をお題として詠んだか、わかりますか?(答えは本誌でご確認を) 全14首中、私は5首しかお題を当てられませんでした(勘が悪すぎ?)。中にはわざと難しめのお題にした方もいますよね(思い違いかな笑)? いやぁ、楽しかったです!

▶︎寄稿者紹介

現役会員・OPの名前と簡単な自己紹介、SNSアカウントなど。

▶︎編集後記/ナカジマシン

 スクリーンの時代の到来は、わたしたちにあらゆる可能性をもたらした。誰しもが、いつでもどこでも、思いのままに発信し、世界と接続する。しかし、その陰でわたしたちが失ってきたものはなにか。

ナカジマシン 編集後記より
『京大短歌30』p.145

 『京大短歌30』編集長ナカジマシンさんの、熱さを秘めた名文に感動。当店販売ページにて一部抜粋してご紹介しておりますので、是非お読みください。
 スクリーンの中(SNS等)に放たれる言葉の脆弱性に触れ、紙の本の確かさに言及したこの編集後記から、自分たちの表現を誰にも邪魔されたくない・邪魔されてはいけないという強い意志を感じました。

 今号も盛りだくさんの『京大短歌30』、ぜひお読みいただければと思います!

▼前号もご一緒にどうぞ。


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