笑顔は風に揺れる竹のように:レジリエンスと日常の魔法
私は陽気なアメリカ人がすれ違いざまに笑顔をくれるのが大好き。今年の4月に引っ越してきた、サンフランシスコ郊外の街ラクスパーでは、散歩中に見知らぬ人と目が合えば、ほとんどの人が自然に笑顔を交換します。特に朝や晩の散歩で、すれ違う人たちが「おはよう!」と元気に言ってくれたり、軽く笑ってくれる瞬間は心温まって最高。アメリカでは、このような日常の小さな笑顔のやり取りが本当に自然なんですね。それが、まるで挨拶の一部のように感じられます。たまには目をそらしたり、無愛想な人もいるけれど、そんな時は「あー、きっと何か辛いことがあるんだな。とか体の調子がイマイチかな。」とか勝手に想像してスルー。
一方で、私の大好きなフランスの田舎を訪れると、すれ違いざまに「ボンジュール!」と笑顔で挨拶してくれることが多いです。私のシェフの友人がいるフランスの小さな村トローでは、地元の人々が親しみを込めて挨拶し、笑顔を見せるのが当たり前の光景でした。でも、パリに行くと、なんだか急に雰囲気が変わると実感。街のカフェや通りを歩く人々は、みんな少し厳しい表情をしていて、笑顔がなかなか見当たらない感じ。おしゃれで洗練されているけれど、パリの街中では笑顔がちょっと貴重品のように思えたのが、今でも印象に残っています。文化の違いを強く感じた瞬間。
では、日本ではどうでしょう?知らない人に笑顔を向ける習慣はあるのでしょうか?私は人生の1/3しか日本に住んでいませんでしたからちょっと外国人としての感覚かもしれないんですが、私の経験では、日本では笑顔を交わすというよりも、丁寧で静かな礼儀が重要視されるようです。例えば、電車やバスで誰かと目が合っても、すぐに目をそらすことが多いですね。決して無礼なわけではなく、むしろ控えめで相手のスペースを尊重する文化の表れだと思います。
「笑顔」という言葉に使われる漢字「笑」。この字を調べて見ました。上の部分は「竹」を意味していますね。竹はまっすぐ高く伸びるけれど、風に揺れるしなやかさも持ち合わせている植物。つまり、柔軟で弾力がある、まるで程よい笑いのようなイメージです。そして、下の部分「夭」はもともと若さや生き生きとした生命力を表すもの。この二つが組み合わさることで、「笑」という漢字は、しなやかでありながら生命力に満ちた姿を象徴しているのです。面白いですね!笑うということは、ただの陽気さの表現ではなく、逆境にも負けずにしっかりと立ち続けるエネルギーの源なんだと、この話を知ったときにすぐ腑に落ちました。漢字、奥が深ーい。
振り返ってみれば、人生は予想外の厳しさに満ちているもの。仕事を失ったり、離婚を経験したり(私は2回)、子どもが成長して巣立ったり(息子は日本に引っ越してあまり会えない)。そして、いつの間にか顔にシワが増え、重力がどこかで急に増したかのように感じる日々。時には昼寝をしている間に忍び込んでくるかのような年齢の変化に驚くことも。でも、そんなときこそ笑顔を浮かべると、なんだか気持ちが軽くなるのです。それは自分にとっても、周りの人にとっても。あと、動物に接する時も笑顔だと安心して近寄ってきてくれるんですよね!
「そんな大げさな!」と思うかもしれません。笑顔が世界を変えるなんて、そんなことないでしょう?確かに、笑顔だけで世界平和が実現するわけではありません(もしそうなら素晴らしいことですが)。でも、笑顔がもたらす小さな変化は確かに存在すると思っている私。科学的にも、笑顔は伝染すると証明されています。誰かに笑いかけると、その人も自然に笑顔を返してくれることが多いのです。そしてそれは、単なる表面的なジェスチャーではなく、笑顔を交わすことでエンドルフィンという「幸福ホルモン」が分泌され、少しずつ気持ちが明るくなるのです。笑顔は、まるで幸福感の筋肉を鍛えるミニワークアウトのようなもので、ジムの会員証もいりません。
よく、いろんな人から「いつも笑顔だね!」と言われます。時には称賛の意味で、時には不思議そうに、まるで私がどこかに秘密の「幸せの隠れ場所」を持っているかのように。でも本当は、笑顔は日常を少し軽やかにしてくれるからこそ、私はなるべく笑顔を心がけてるかな。それに、笑顔は誰にでもあげられる最も手軽で素敵な贈り物ですよね? アメリカでは、このような日常の小さな笑顔のやり取りが本当に自然。それが、まるで挨拶の一部のように感じられます。良いことばっかりではないこの国の、私の好きなところの一部です。
平和は微笑みから始まる(マザー・テレサ)
愛嬌というのはね、自分より強いものを倒す柔らかい武器だよ(夏目漱石)
楽しいから笑うのではない、笑うから楽しいのだ(ウィリアム・ジェームズ)
ほかの誰かの元気な笑顔のために自分が生きていることを、私たちは知っている。それは自分の幸福を支えてくれているんだ(アルベルト・アインシュタイン)
笑顔は女の子ができる最高のメイクよ(マリリン・モンロー)
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