ジョブズの奴①
ここ半年くらい、常時ハラがしくしく痛い、夜中に痛くて目が覚めたら下痢、みたいなことをずーっと繰り返しておりました。大昔ここで子宮筋腫の手術のことを書きましたが（そして書いたかどうかも定かではないですが出産後も何度も再発しており、筋腫だけではなく他の部位にも内膜症が広がっているということもあり）これはそっちの奴だな、という想定で婦人科通院して治療してたわけです。
しかし、何をどうやってもあんまりその微妙な痛みと不快感が消えなくって、これはもしかしたら婦人科系統ではなくご近所にある別の臓器の問題なのでは、ということで近所にできたばかりの消化器内科で大腸内視鏡の検査をやることになりました。
大腸内視鏡、やった方はお分かりであろう。もともと下痢ぎみの主訴なのに、お腹を空っぽにして大腸壁をきれいにするために1時間とかかけて2リットルの下剤を自宅で飲み続けなければなりません。そしており悪く〆切中でもあり、1時間で30回くらいトイレに行き便の色を確認する作業です。
いろいろと地獄であった。が、取り急ぎ与えられた下剤タスクをクリアして、内視鏡受けてきたわけです。
大腸内視鏡実はかれこれ4回くらい受けてるんです。出産直後痔気味だったので軟膏ほしくて別の病院にいったら問答無用で検査させられてなんでもなかったということもありました。ベテランです。いつも超大変な思いをしてやる検査なのに、いつも大腸壁はぴかぴかで「なんともないですねー」と言われて終わる苦労が報われない検査でした。
ところが今回は「組織を採取したのでご飯しばらく食べないで」という小さな紙を検査後すぐに渡されました。そしき？
診察後先生に呼ばれました。「大腸壁はぴかぴか（いつもどおり）なんですが、内視鏡がギリギリ届く小腸の末端の回腸部に、何かあります」
写真を見せてもらいましたが、確かに赤く膨れた何かがある。「申し訳ないのですが、何かわかりません。病理検査に出しますので1週間後にまた来てください」
そして5日後。クリニックから電話がありました。「検査に予定より時間がかかることが分かり、予約している1週間後は1次結果しかお伝えできないですがいいですか？」んー？
そして「いや、これホント珍しいですよ、僕も見たの初めてです」と渡されたのがこれです。
http://kompas.hosp.keio.ac.jp/sp/contents/000777.html
ＮＥＴ（神経内分泌腫瘍）
有名人の患者だとスティーブ・ジョブズがいます。ジョブズの奴。
よくすい臓がんで亡くなった、という報道をされるのですが、正確にはｐ－ＮＥＴという種類のもので、ホルモンを出す細胞ががんになるというタイプ。
https://www.pancan.jp/index.php?option=com_content&view=article&id=502&Itemid=607
そもそも全体で10万人に3人とかの罹患率らしいのですが、これが回腸にできる奴となるとさらに珍しいとか。ていうか某最大手の大学病院の主治医先生も初めて見たって。
https://www.jsge.or.jp/citizens/hiroba/backnumbers/hiroba15/hiroba15_08
こんな高確率のガチャをなぜここで引くのか。宝くじとか油田掘り当てるとかそういうガチャでなしに。
さらにこのＮＥＴという病気自体、がんなのかというとそうではないらしい。先生からの説明を超ざっくり言うと上皮にできるもので増殖スピードが速くて体のあちこちに転移するものをがんと呼ぶらしい。これはＮＥＴのなかでもＮＥＣと呼ばれてて、（ＮＥＴとＮＥＣとか、ぐぐったら絶対ビッグローブとかがヒットするやん）、まだ比較的大人しい方の奴がＮＥＴとと呼ばれているらしい。ただ、良性腫瘍と思われていたのが3ミリとかでも他のところに転移してる例が最近発見されたということで、とにかく転移（特に肝臓への転移がやばい）の有無を調べつくして手術で取るのが第一選択肢なんですって。
ということで、コロナ禍だのオリンピック延期だのニュースに事欠かなかった2020年、うん十万人に1人クラスのレア腫瘍と戦う、というわけわからんニュースが最後に飛びこんできたというお話です。
ていうかそもそも悩んでいたじんわりとした腹痛とか、なんか下痢気味というのはこの病気のせいじゃないかも的な話も言われており、結局なんだかようわかりません。ただこれからいろいろ控えている検査だけでもレアものばかりなので、これはネタとしてしっかり記録しておくべくここに記載していく次第です。
というか、今気が付いたんですが神経内分泌腫瘍 でググると今こういう画面になるんです。まず論文、しかも引用数付。最初にくるのは国立がん研の情報サイト。わーグーグル頑張ったね！肩こりを霊障とか言ってた時代が嘘みたいだよ！
