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2024年10月7日 吉田さんエッセー「環境経済学からの招待」

ゼミ2期生は夏休みの宿題でみな「エッセー」を書きました。
その中から、ゼミ生に好評だった吉田さんのエッセーを公開します。

「環境経済学からの招待」作:吉田(ゼミ2期生)


「経済学とは選択の学問である」 

私が受けた経済学部の最初の授業、「経済学入門」で言い放たれたこの言葉は、今まで私が経済学に対して持っていた認識を覆すような言葉だった。

今にして思えば、私は勉強を一種の競技かゲームのようなものとして考えていたと思う。各教科で必要な知識・思考の枠組みを身に付け、それをテストという場で発揮し、その結果が点数や順位や偏差値というスコアになって返ってくる。 
大学受験に関しても、自分の適性を考え、それに合っている所を選び、効率良く頑張って合格することがゴールであると考えていて、自分との相性が良く、1 番難しいところという理由で一橋の経済学部を志望校に決めた。そんな高校時代の自分にとっては、一橋への合格がゴールであり、ゴールの後の大学で学ぶ経済学の内容にさして興味があるわけではなかった。 

だから、「経済学なんて数式とか使ってなんか色々やるんでしょ」と、当時の自分は経済学に対してそのくらいにしか考えていなかった。そんな自分にとって、経済学選択という言葉は全然関係のないことのように思えて新鮮に思うと同時に、「なんか面白そう」と、「経済学入門」の最初の授業で経済学に対して初めて興味を抱いた。

そこから色々な事を学んだ。ミクロ経済学とマクロ経済学の違いすらよく分かっていなかった自分にとっては本当に分からないことだらけで、3時間くらいかけて解いた小テストの点数が平均点以下なんてこともザラにあった。しかし、家計の効用最大化問題や、企業の利潤最大化・ 費用最小化問題などを学んで、「確かに経済学って数式を基にそこから何かを『選ぶ』ってこと をずっとやってるんだな」と、あの時言われた言葉に納得した。 

「ゲーム理論」と「オリエンテーリング」との出会い

2年になって授業でゲーム理論を学んだとき、「コレだ!」と思った。利得に基づいて最適な戦略を選ぶという概念を知り、「めっちゃ経済学っぽい!」とワクワクした。この時点で漠然と、ゼミではゲーム理論をやりたいと思うようになった。 

またこの時ちょうど、サークルで始めたオリエンテーリング(森の中に設置されたチェックポイントを、順番にどれだけ速く回ってこられるかを競うスポーツ)にのめりこみ始めた。森を走るというこのスポーツの特性上、毎週のように日本各地へ行き、森に入りまくっていた。大学2年次は、どこかの森にいるか大学で授業を受けていた記憶しかない。

そんな中、森を走っていると伐採された木々や、地形を潰して引かれた造成道が自然と目に留まり始めた。時には地形を潰して造成道が引かれていたこともあり、地形や植生を見ながらチェックポイントに向かう以上、「何してくれてんだ」と思った。
もちろん伐採された木が巡り巡って自分の生活を豊かにしていることは分かっている。それでも伐採の影響で練習会が中止になることもあったため、自分としては森林伐採を無くすとまではいかないまでも、どうにか減らしてほしいと思うようになった。

「環境経済学」からの招待

そして意識していたつもりはないのだが、2年で取った授業は資源や環境問題に関するものが多かった。その中に、「環境経済学」という授業があった。環境問題について、経済学の視点から解決の糸口を探るという分野があることを知り、「コレだ!!!」と思った。

この時、ゲーム理論を使って森林保全や森林利用に何かしら貢献できたら面白いな、と思うようになり、自分の中でやりたいことがハッキリと見えた気がした。 
早速、その時「環境経済学」を開講していて、「経済学入門」の授業で「経済学とは選択の学問である」という言葉を言い放った横尾先生のオープンゼミを見学した。
学生が疑問に思うことに対して先生の方から歩み寄る様子を見て「このゼミなら、自分のやりたいことを思いっきりできる」と確信した。

現在、私は大学院への進学を考えている。大学院で森林利用・森林保全や環境政策について詳 しく学び、将来はシンクタンク業界でその知識を活かしたい。

〈オマケ〉

2024年3月19日、この日は横尾ゼミの志望レポート提出の締切日。前々日までオリエンテー リングの全国大会で愛知に行っており、帰ってきてからは1日中惰眠をむさぼっていた。そのせいで志望レポートの存在が頭から抜け落ちていた。 

3月19日、6月に開催予定の大会で入る森の調査があったが絶起。高速バスでの夜入りを決断。片道3000円を浪費。くそう。せめて午前中は何か進捗を生み出そうと思いダラダラとゼミのシラバスを見始める。

横尾ゼミのシラバスを確認。ん?志望レポートの締切、3月19日。スマホで日付を確認、『3月19日』の文字。アレ?ヤバくね?もう過ぎてる?時間を見たら11時 まで。今は10時40分。後20分・・・ヤバい! 

急いでパソコンの電源を入れてWord を立ち上げる。キーボードを叩きながら1日寝ていた昨日の自分を恨む。何してんだ、マジで!質問に対して思いつく端からキーボードを叩く。後15分!ココ以外のゼミはほとんど見てないしこれで落ちたら洒落にならん!ギリギリで書き終えて確認。誤植はなさそう。急いでメール書いて提出!時間は10時58分。あぶねーギリギリ だった・・・。 

後日、書類審査合格の通知。落ちたと思ったけど、通ってよかった…。
3月21日、ゼミの選考面接の日。この日はリマインド機能も使って準備万端。緊張しながら質問に答える。
「金曜5限の時間は何をしていますか?」という質問。「サークルでトレーニングしたり前泊で大会に向かったりしています。」と回答。
ん?なんか反応良くないかも。あ、金曜5限ってこのゼミの開講予定の時間じゃん・・・。 

こんな調子で面接終了。正直落ちたと思ったから他のゼミの2次選考の課題とか日程確認をしていた。2日後、メールを見ると横尾ゼミ採用の連絡。文面を見て最初に困惑。え、採用?マジで? 

今でも自分が横尾ゼミに受かった理由はよく分からない。けど、これ以来、提出期限はしっかり確認しようと誓った・・・。 
ちなみにこの1ヶ月後、大学への提出書類を締切25分前に思い出し、締切1分前まで格闘することになる。

2024年9月 一橋大学・経済学部3年 吉田(ゼミ2期生)

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