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『虎に翼』最終回
『虎に翼』が終わった。本当に、見事なまでに全ての役に意味を持たせ、最後まで破綻なく走り切っていてすごい。「ドラマに正しさって必要だっけ?」はしばしば思うことでもあるけれど、このドラマはその問いすらも不毛にするほどの密度だった。
最終回の最後は、桂馬の額についた桜の花びらを寅子がとってあげるシーン。桂馬のモチーフとなっていたであろう人物が、その後、日本会議の前身となる組織を立ち上げたことを思うと、彼からその理念(や思い込み)を軽やかに除去した寅子の姿で終わるのはドラマとしては完璧な大団円。桜は、「日本」の象徴でもあるモチーフなわけなので。思考に近い場所に付けていたのも示唆的。口元に芋(の皮でしたっけ?)などもつけていた桂馬。「実は憎めないおっちょこちょいキャラ」みたいなことを表現していただけなのかと思いきや、最終回のこのシーンまで想像して執筆していただろう脚本家の吉田さん、本当に恐ろしいです(褒めてます)。
生きていると「あの時、あぁしていたら」と思うことばかりだけれど、小さな行動は必ず「いつか」へとつながる。さよなら、また、いつか(それにしても主題歌だった米津の歌詞もまた本当にすごい)。
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それも日本だけでなくて、世界のいろんな歴史の中で同じように作られてきました。だから、憲法というのは恐ろしいものなんですよ。これまで虐げられて権利のなかった人の戦いの上で憲法というのはできているんです。そして憲法は、全人類が、権力者にこれを守るようにと押し付けるものでもある。憲法に縛られるのは、どこの国の権力者も嫌なものですから。
「人間、生きてこそだ。国や法、人間が定めたものはあっという間にひっくり返る。ひっくり返るもんのために、死んじゃならんのだ。法律っちゅうもんはな、縛られて死ぬためにあるんじゃない。人が、幸せになるためにあるんだよ、幸せになることをあきらめた時点で矛盾が生じる。彼がどんなに立派だろうが、法を司る我々は、彼の死を非難して、怒り続けねばならん」
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そして、今日、自民党総裁選挙の結果、新総裁は無派閥の石破茂さんに決まり、58年前に一家4人殺害事件で死刑が確定した袴田巌さん(88)が再審で無罪に。