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擬態、声を上げる、そして連帯のこと

だいたい決まった時間に寝て、起きて、食事をして……生活のリズムが整ってきている。夜が明ける時間が早くなり、気温が高くなるのが早くなってきたので、自粛生活が始まった頃より、だいたい1時間早く目が覚めるようになる。このまだ空気がひんやりした朝の1時間の頭のクリアさは格別で、読書がとてもはかどる。

今朝は、松田青子さんの『スタッキング可能』を読む。

2016年に発売になって評判になっていた今作を、なんで今まで読まなかったのだろう……と激しく後悔。

以下は松田さんのインタビューより。

登場人物を入れ替え可能にしたのは、ふだん生活しているときに、自分が主人公とは思えないからです。同じような毎日を過ごしているし、物語みたいに前に進まない。他のみんなも同じなんじゃないかと考えたとき、一度この感覚をしっかりかたちにしたいと思いました。
誰かが「おかしい」と声をあげたときに、同じように「おかしい」と考えている人がいなければ、その声は広がらないじゃないですか。だから声をあげた人の言葉も黙っている人の言葉も同等に大事なんです。

当時、どっぷりとハマッた『ハッピーマニア』のその後、『後ハッピーマニア』の第1話が無料配信されている。主人公のシゲタカヨコは45歳になっていた。「私と一緒にシゲタも同じ時代を生きてきたのだな〜」と感慨深くなりつつ、これまた結婚後も引き続き自分に正直なシゲタから繰り広げられるダダ漏れの本音は絶え間ない鈍痛をもたらす。ボディブローの如し。ノックアウト寸前にもなるが、一方でホッともするし、心強くも感じる。

そして、最近、レンタル配信がスタートした映画『スキャンダル』。#metoo 運動の先駆けとなったFOXニュースで実際に起きたセクハラ事件が題材。声を上げる難しさ。女性同士の連帯の難しさが描かれており、苦しくなる。そして、昨日は出版業界におけるFOX的ニュースが飛び込んできた。「社会構造は未だにココだ」という現実を突きつけられた思い。

翻訳家ほんみさんの韓国のフェミニズム運動についての記事『韓国の「フェミニズム」ムーブメントが達成してきた、これだけのこと』。6人の著者により、様々な分野の「女性たちの変化」が前後編で紹介されている。

韓国の女性が声を上げている。セクハラを告発し、女性のための政党を作り、堕胎罪に反対するデモを行う――かつては考えられなかった女性たちの行動が、いまや当たり前のものとなった。いったい韓国社会に何が起きたのか。

記事は、以下のように締めくくられている。

もちろん、同じ目標を抱いているとしても、意見が違えば顔をしかめ合うこともあるだろう。女性同士で傷つけ合うこともあるはずだ。それではどのように連帯し得るだろうか。

大きなうねりが始まる。そんな予感に気持ちが前向きになる朝だった。





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