お盆の夢
お盆になると、毎年亡くなった家族や知人が夢に出てくる。今年は、四月に死んだ猫が夢に出てきた。
生まれつき心臓の悪い猫だったので、六歳まで生きたこと自体奇跡だった。食いしん坊の猫で、最後まで牛の赤身を美味しそうに食べていた。
夢では、イチゴをパクパク手食いしている。食べやすいようにちょっとつぶして口に入れてやるのだが、何個もちょうだいちょうだいと来るところが可愛く、目が覚めると会いたくて悲しくなった。
夢は、いろんな次元やあの世ともリンクする場だと言われているが、こんな夢も見た。
中二の終わりに他界した父が、戦争から帰ってくるという夢だ。終戦記念日が近かったからだろうか。父は昭和六年生まれだから、戦争には行っていない。しかし夢では、戦争から帰ってくるのだ。
遺影で帰ってくるか、生きて帰ってくるかわからない状態で、迎えに行く。
「怖いから迎えに行きたくない」
と母にいうと、
「大丈夫だから行きなさい」
と笑う。母も十六年前に他界しているが、夢の中では今でも上機嫌で生きている。
会場に行くと、父の遺影は準備されていたが、父は生きて帰ってきていた。ただ、苦しそうに寝ていたが。死んだ年、四十七歳のまま。
父はくも膜下出血で他界した。苦しかったんだろうなぁ。生きたかったんだろうなぁ。お盆に亡くなった家族を供養するのは、残された家族への愛のお返しなのだ。