新しい結婚、なんてない
・あなたは結婚には向かないタイプよ
・仕事だけをして生きていきなさい
・家事だってできないし
・誰かとずっと一緒にいるなんてできないでしょ
母親から、何度も聞かされてきた。私を一番身近で見守ってきた彼女の言葉だから、間違いはないはずだと思っていた。
結論から言わせてもらうと、結婚はできたし、それなりに楽しくやっている。ただ、それは親が思う「あるべき」形ではないけれど。
私と夫はTwitterで出会って、出会って4回目で(話した総時間なんて3時間ほどじゃ、ないだろうか)、なんとなく気が合うからと言って結婚した。
相手を吟味して、安定した職業の相手を! と希望してた親の「結婚相手のあるべき探し方」とは全く違う。だって、私は相手の職業を知らないまま結婚したから。それに彼は自営業で、親が思う安定とは遠いな、うん。
仕事だけをして生きていこうと思っていた。確かに、まわりがどんどん結婚していく20代後半から仕事に没頭するようになった。結婚には向かないと言われて、自分でもそうに違いないだと信じていたから。
しかしだな、頑張りすぎて体調を崩してしまった。それ以来、仕事で生きていくという考え方をやめた。生かされるときがあってもいいし、バリバリとお金を稼ぐ以外にも、生きていく方法はいくらでもある。
家事はできるようになったぞ。あれだけキライだと思っていたけれど、1人で暮らすようになって、環境を変えるごとに掃除も洗濯も料理もできるようになった。私の母親のように、辛い辛いと言いながら、毎日完璧を目指すわけではない。自分が心地よいと感じられるほどに、手を抜きながら家事をしている。
大恋愛をする度に、この人と添い遂げるなんて。何度も宣言してはうまくいかなかった。こんな私を見ていて親は「この子は誰かと一緒にいることができない子」とレッテルを貼った。
それは半分当たりだ。自分のペースで生活することは、私が幸福だと感じるために欠かせない要素である。自分と他人がべったりと一緒になるのではなく、自分一人ででかけ、ボーと考える時間がないと私は病気になっちゃう。一人旅もしたいし、時々は一人で焼き肉を食べたいし、内緒の買い物もしたい。
確かに「ひとり」がたまらなく好きだ。それに、どうしても日本にずっといるとムズムズして海外でひとり暮らしたくなる。私に結婚は無理なんだろうな、と諦めていた。
でも今結婚をして思う。「あるべき結婚」の呪縛を解けば、無理なんてことはない。今私はベトナムに住んでいるけど、夫は京都に住んでいる。1年で一緒に過ごす時間の短さよ…。驚かれることも多いけれど、私たちはお互いこれでいいよね、と納得している。
めくるめく大恋愛をしたわけでもないし、素性がわかりきったお見合いをしたわけでもなく。なんとなく結婚したけど、なんとなくとても幸せだ。
毎日電話をするでもないし、手紙を送り合うでもない。でも相手のSNSをこっそり見て、楽しそうにやってんじゃん。と思っている。
だから、言いたい。
私に結婚は無理。したいけど、無理とか思っている方々へ。
その結婚は「姿が見えない社会がこうあるべきと決めた結婚」じゃないですか?(長いな…)
家族のあるべき姿なんてない。
私たち夫婦の生活を知った人は言う。
新しい結婚の形ですね、と。
ううん、違うの。
新しい結婚なんてない。
結婚の形は、性別も年齢も住んでいるところも一緒にいる時間も関係ない。すべてすべてすべてがユニークで違っていいのだから。新しい結婚なんてない。
と私は思うのだ。
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