友情の総重量(毎週ショートショートnote)
🎵友達百人できるかな〜
小学生になる少し前から、そんな歌を何度も聞き、みんなで一緒に歌ったものだ。
そうして幼なじみのリョウは「友達百人作るぞ!」と宣言し、社会人になるころには百人余りの友人がいるという。
それに比べて儂はどうじゃ。親になり、爺やになった今も友人と呼べる者は片手で数えられるほど。
「やれやれ、お前と一緒になるとは思いもしなかった」
リョウとともに儂は向かう。閻魔様のもとに。
そこで亡者の生前の行為を再生され、罪の有無を裁くのは知られているが、その裁きに個々の友情の総重量が関係するとは初見だ。
リョウの友情が秤にかけられる。
友達百人あると語っていただけに、秤にのせるだけで時間がかかる。天秤に載せられるオモリも少しずつ増やされていく。
「ふむふむ、なるほど……」
閻魔様の書記が帳面にその数値を書き込む間、どうだいとばかりにリョウが胸をはる。
儂の番が来た。
秤に儂の友情の一つをのせられる。
「おやっ?」
あきらかに、リョウの友情の総重量より重いオモリに入れ替わった。
お題はこちらの「友情の総重量」から。