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捏造された事件を見破れない裁判官(大川原化工機冤罪事件から)

以下は大川原化工機元顧問の男性が勾留中に進行胃がんと診断され、勾留執行停止を受け、入院中であったにもかかわらず保釈が却下された判決文(裁判官の決定)の全文です。
この事件はこの7ヶ月後に検察官が本件は犯罪要件に当たらないとして起訴を取り消し、後に国賠訴訟で当時の捜査員が「捜査幹部の出世のために捏造した事件」と証言したものです。つまり何の落ち度もない一般市民が警察幹部の出世のために勾留され続けていたわけです。
本来裁判官はこのような事件で、検察の反対を退け保釈を決定するべき責任があります。残念ながら今回は裁判官はプロとしての役割を果たせませんでした。
裁判官はこのように捏造された事件を見破ることができないことが明らかとなりました。このようなミスを正面から捉え、刑事司法システムの改善に繋げなければなりません。
なお、本決定をした裁判官の実名を挙げていますが、彼らに個人的な責任を問う意思はありません。下記4名の裁判官ご本人達が自身の判決のミスに気づき、振り返り、つぎの仕事の改善に努めていただくことを期待しています。


Ⅰ)元顧問が重度の貧血になっていることが判明、保釈請求に対して裁判官は却下の決定
<事実経過>

令和2年9月25日に重度の貧血(Hb5.1g/dL *1)のため輸血2単位(280mL)を受けた。9月29日に外部医療機関における専門的治療を開始する必要があるため、保釈請求をおこなった。
令和2年10月1日に内視鏡検査で胃幽門部に潰瘍を認めた。(同年10月7日に病理検査の結果悪性腫瘍と判明)

*1 WHO(世界保健機関)の基準では男性は13g/dL以下で貧血と診断される

Seminars inHematology, Vol 52,No4,October2015,pp261–269

保釈請求却下決定
被告人に対する①②外国為替及び外国貿易法違反被告事件について、令和2年9月29日弁護人(弁護士実名は省略)らから保釈の請求があったので、当裁判所は、検察官の意見を聴いた上、それぞれ刑事訴訟法89条4号の場合に該当し、かつ、裁量で保釈することも適当でないと認めて、これらを却下する。

令和2年10月2日
東京地方裁判所刑事第14部(13)
裁判官 本村 理絵

Ⅱ)東京地方裁判所による保釈決定と検察による準抗告そして即日保釈却下


<保釈許可決定>
被告人の保釈を許可する。保証金額は①につき●万円、②につき●万円とする。
釈放後は、下記の指定条件を誠実に守らなければならない。これに違反したときは、保釈を取り消され、保証金も没取されることがある。

令和2年12月28日
東京地方裁判所刑事第14部(13)
裁判官 鏡味 薫

<保釈請求却下>
令和2年(む)第84602号
主文
原裁判を取り消す。
本件保釈決定を却下する。

理由
第1 申立ての趣旨および理由
 本件準抗告申立ての趣旨及び理由の要旨は、本件は、刑事訴訟法89条4号に該当する事由があり、裁量保釈も相当でないから、原裁判を取り消し、本件保釈請求を却下するとの裁判を求めるというものである。

第八十九条 保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。
 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
 被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏い怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
 被告人の氏名又は住居が分からないとき。

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第2 当裁判所の判断
本件各勾留の基礎となる各公訴事実の要旨は、被告人が、顧問を務める会社の業務に関し、同社の幹部である共犯者2名と共謀の上、経済産業大臣の許可を得ずに、政省令で定める噴霧乾燥器を中国及び韓国に輸出したというものである。
一件記録により認められる本件事案の性質及び内容、被告人及び共犯者らの供述内容、被告人と関係者らの人的関係等を考慮すると、被告人が、関係者に働きかけるなどして、罪体及び重要な情状事実について罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある。
以上に加え、本件の争点および証拠整理について、当事者間で事実上の検討が進んでいるものの、いまだ争点に関する検察官立証および弁護人立証の予定が明確になったとまでは言い難く、第1回公判前整理手続期日も開かれておらず、前記罪証隠滅の現実的なおそれが大きく低下したとは認められないから、弁護人が主張する事情を考慮しても、被告人の保釈を許可した原裁判の判断は、その裁量の範囲を逸脱した不合理なものと言わざるを得ない。
よって、本件準抗告は理由があるから、刑事訴訟法432条、426条2項により、主文のとおり決定する。

第四百二十六条 抗告の手続がその規定に違反したとき、又は抗告が理由のないときは、決定で抗告を棄却しなければならない。
 抗告が理由のあるときは、決定で原決定を取り消し、必要がある場合には、更に裁判をしなければならない。
第四百三十二条 第四百二十四条、第四百二十六条及び第四百二十七条の規定は、第四百二十九条及び第四百三十条の請求があつた場合にこれを準用する。

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令和2年12月28日
東京地方裁判所刑事第6部
裁判長 裁判官 佐伯 恒治
    裁判官 室橋 秀紀
    裁判官 名取 桂

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