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なぜ日本ワイン?【前編】

 2022年4月末で会社を退職し、現在、鎌倉で小さな小さな日本ワイン専門店をオープンするべく孤軍奮闘しています。

 今日はなぜ私が日本ワインを販売しようと思ったのかについて話します。

 私の生まれ育ちは愛知県ですが、両親がともに和歌山県出身で、幼い頃から春休み、お盆、お正月の長期休みは、おばあちゃん家で過ごしていました。おばあちゃん家は、和歌山県日高川町千津川という田舎にあり、私は昔からおばあちゃん家が大好きでした。大学で愛知県から上京し、会社勤めで六本木に通うようになっても、ずっとどこかに「田舎暮らし」への憧れがありました。

 おばあちゃんの家は代々みかんの農家をしていて、私は生まれてからずっとおばあちゃん家のみかんしか食べた事がなかったのですが、上京してから自分で買うみかんが、、、美味しくない。おばあちゃん家のみかんって、めちゃくちゃ美味しかったんだ!と気づきました。和歌山のおばあちゃん家に帰った時に色々話を聞くと、田舎のおばあちゃん、おじさん、おばさんは、自分たちの作ったみかんの味が「普通で当たり前」なので、市場での高い価値に気づいておらず、農協にかなり二束三文で売っていました。

 これはもったいない!と思った私は、東京でおばあちゃん家のみかんを売ろうと、遊び感覚でECサイト(BASE)を作成。友人、知人から広げていきました。
ただ売るだけではつまらないので、みかんを送る箱の中に、その年のみかんについて紹介する簡単な新聞を自作して同梱しました。ある年は「生産者にメッセージを♪」という返信用はがきを同梱してみたら、かなりの方からハガキが届き、おばあちゃん達も喜んでくれ、その年のお正月は親戚みんなで消費者の方から返信ハガキを読みながら楽しみました。おばあちゃん家では、みかんだけではなく自分たちで食べるためのお米や野菜も育てています。発送するみかんの箱の中に、おまけとして、商品として栽培をしていない無農薬の檸檬や柚子をこそっと忍ばせたり、毎年そうやっておばあちゃん家とみかんを買ってくれる方をつなぐ企画を楽しんでいました。

みかんの箱に同梱した新聞。消しゴムでハンコを作り、絵は手描き!(笑)。

 前回の記事で、会社を辞めてから自分が本当にやりたい事を掘り下げてビジョンとミッションを決める作業について書きました。この記事に書いた「妄想のエクササイズ」でも、和歌山のみかん販売の体験は自分の中でとても重要な経験だっと再認識しました。
 私が実現したいのは、自分が田舎に住むことではなく、こうした地方の農業が未来も続くこと、そして生活者がモノを消費する以上の価値を享受してこころ豊かになること。
 おばあちゃん家は、日本昔話に出てくるようなど田舎なので、DEAN&DELUCAやブルーボトルコーヒーのような都会の洗練された店は無いけれど、四季折々の季節を感じるの自然があり、その自然の恵みを楽しむ食文化があり、太陽や風や土を感じながら豊かに暮らせる場所です。
 こころ豊かになるものを生み出す地方での営みが、自分の子供が大人になっても続くように、そして生活を営むすべての人のこころが豊かになれるように、私にできることはなんだろうか。
 会社員として働きながら、そんな風にモヤモヤと考えているときに出会ったのが日本ワインだったのです。日本ワインとの出逢いのお話は後編で(笑)。

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