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まるっと食べたら美味しくなった
2024年3月23日に、佐藤友美さん主催「さとゆみゼミ」を卒業。卒業後も、文章力・表現力をメキメキと上げ続けるため、仲間と共に、note投稿1,000日チャレンジをスタート。
桜が咲く時期になると、桜餅が食べたくなる。薄ピンクにしっとり焚かれた餅米と餡子。桜の葉の香りと塩気がアクセントになって、春をそのまま取り込んでいる感覚になる。
しかし、30代くらいまでは桜餅が苦手だった。柏餅の仲間、とでも思っていたのだろう。「葉っぱは取り除いて食べるもの」と思い込んでいた。
ぴったりお餅にくっついている薄い葉っぱを剥がそうとすると、かなりの確率で破けてしまう。もしくは、餅のほうが葉っぱにくっついてくる。剥がした葉っぱも、柏餅みたいに乾いていないから、置き場に困る。桜餅の美味しさよりも、葉っぱの処理の面倒さが勝っていた。
葉っぱを食べて良いと知ったのは、長男を出産してしばらくしてからだ。ママ友に「食べても良いんだよ」教えてもらった。驚いたと同時に、「これから桜餅を気兼ねなく食べれる」と分かって喜んだのを覚えている。
葉っぱもろとも桜餅を食べるって、最初はちょっと躊躇した。しかし、いざ食べてみると、面倒さが消えただけでなく、「塩気と春の香り」もプラスされて何とも言えず美味しい。苦手だった桜餅が、大好きになった。
今日の昼過ぎ、ちょっと苦手な人とのミーティングが予定されていた。「苦手」とはいっても、私はSさんと直接話したことがない。引継ぎの方の話で、ネガティブな印象を持っていただけだ。その方が言うには、「こちらはクライアント、あちらは業者という立場関係なのに、上からな感じで話してくる」ということだった。だから私は、「最初が肝心だから気をつけないと」と、前日の夜まで力み勇んでいた。
でも、ミーティング直前、ふと思う。Sさんをまるっと知ってみたら、どうだろう。
ミーティングで軽く自己紹介して、あらかじめ決めていた議題について話をした。帰り際に、私はSさんのファッションを褒め(本当にステキだった)、「以前はどんなお仕事をされていたんですか」と尋ねた。Sさんはある地域の学校現場で、コーディネーターとして英語教育を手助けされていたらしい。
色々とお話をして、最後にSさんは、「わたし、小学校の英語授業で、先生たちのお手伝いをしたいんです。それが私の使命だと思っています」と言った。
ああ、だから上から目線に見えたのか。強い口調に聞こえたのは、「学校のために力になりたい」という熱い思いがあるからか。
桜餅をまるっと食べて、美味しいものがひとつ増えたように、今日、Sさんをまるっと知って、人生がまたひとつ面白くなった。