弁護士のサブスク
おはようございます。弁護士の檜山洋子です。
いつもは労働問題について書いていますが、今日は少し趣を変えて、弁護士のサブスク、つまり、弁護士との顧問契約について書きます。
会社の労務にとって、弁護士との顧問契約が重要な役割を果たすからです。
最近は、「サブスク」という言葉を良く耳にするようになりました。
昔からある雑誌の定期購読もサブスクですが、最近のは“定額でホニャララし放題“というサブスクを良く見かけます。
例えば、服や鞄を1か月1万円程度の料金で何度でもレンタルできるとか、ネット配信ドラマを1か月1000円程度で見放題とか。
驚いたのは、ランチ・ディナーのサブスク。定額料金を払っていればランチとディナーを食べ放題。毎日毎日同じものでも大丈夫という人にとっては、ありがたい仕組みですよね。
顧問契約とは
弁護士との顧問契約と言われるとなんだかハードルが高そうな気がしますが、実はこれもサブスクです。
サブスクだと思えば、気軽に使えそうな気がしませんか?
町弁と呼ばれる、個人で開業していて主に地域住民からの相談を受ける弁護士は、だいたい月額5万円から顧問契約をしてくれます。
仕事の量や質によっては、10万円から20万円ということもありますし、逆に3万円程度になることもあります。
個々の会社の規模や事情によって様々ですので、話し合いによって顧問料金の額を設定することが可能です。
顧問契約の効用その1
法務担当の社員を雇用しようとすれば、月20万円から30万円は必要になるところですが、顧問弁護士なら月5万円から依頼することができますから、ずいぶん安いものです。
もちろん、社内にいつもいてくれるわけではありませんし、細かい事務作業をしてくれるわけでもありませんので、法務担当社員と同じだけの仕事を期待することはできません。
しかし、法務担当社員の専門知識エリアを法律の専門家である弁護士に依頼するのですから、十分元はとれるはずです。
顧問契約の効用その2
ただ、このような“元が取れるかどうか“という観点からだけでは、顧問契約の効用を説明しきることはできません。
費用の問題以上に、顧問弁護士の存在は、会社によい効用をもたらします。
つまり、従業員に与える影響です。
会社が弁護士と顧問契約を締結すると、従業員は社長がコンプライアンスに敏感になっていることを肌で感じるでしょう。もちろん、社長自ら、コンプライアンスに対する意識を高く持っていることを、明確に従業員に言葉にして伝えることは必要であって、ただ単に弁護士と顧問契約を締結した、というだけでは足りません。
顧問弁護士に、従業員向けのコンプライアンス教育をお願いすれば、従業員のコンプライアンスに対する意識が高まるのはもちろんですが、従業員と顧問弁護士の距離が縮まり、自分たちはこの弁護士に守ってもらえている、という安心感を与えることもできます。
この弁護士を敵に回せば大変なことになる、という具体的な意識を持たせて、違法行為を抑止する効果も副次的にあります。
顧問契約の効用その3
弁護士と顧問契約をして、ホームページで顧問弁護士の名前を掲載する会社もありますが、それも大変有効です。
海外の会社は、顧問弁護士がいる会社としか取引をしないとか、契約書のリーガルチェックを必須とするなど、弁護士の存在を必要不可欠なものと見ることが多いのですが、それは顧問弁護士が会社の信用度をアップすることを知っているからでしょう。
新たに取引を開始しようとする会社に顧問弁護士がいることを知っていれば、下手なことができないという気持ちにもさせますから、トラブルに巻きこまれることも減ると思われます。
なにより、顧問弁護士をうまく利用している会社であることを社外の関係者に知ってもらうことは、自社のコンプライアンス意識の高さをアピールすることになり、業界内でのステータスもアップします。
どんなことをしてくれるのか
顧問弁護士はどんなことをしてくれるのですか、という質問を良く受けます。
最近では、詳細な料金表を作っている弁護士もいますが、多くの弁護士は、ほぼ無制限に法律相談に乗っています。
ただし、契約書をイチから作成したり、相手方との交渉を要したり、裁判になったりした場合は、別料金としている弁護士が多いと思います。
顧問弁護士は、会社からの信頼に基づいて仕事をしますから、コンビニのように、「お金を支払わないなら商品は差し上げません」というようなことは言いません。
時給換算するとマクドナルドのアルバイトの時給よりも安いと言われる金額で、最高のリーガルサービスを提供しているのが実状です。
法律相談し放題のサブスク、ということですね。
ただし、弁護士は自分の時間と身を使ってサービスを提供していますから、無制限サブスクには限界があります。
1社にだけかかり切りの状態になると、他の会社に手が回らないことになります。
そういう意味で、詳細な料金表を作成してサービス内容を明確にすることは、他の顧問先へのサービスに悪影響を及ぼさないための方策として、たいへん有意義な方法かもしれません。
弁護士自身も切磋琢磨
以上、簡単に顧問弁護士の効用を書いてみて思うことは、弁護士自身がコンプライアンスの権化として、最高のリーガルサービスを提供することを意識しなければならないということです。
そのためには、専門知識を磨き、顧問先会社のために切磋琢磨しなければなりませんね。
がんばります!
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