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地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律

 おはようございます。弁護士の檜山洋子です。

 ゴールデンウィークの始まりは温度が下がって、場所によっては雪が降ったと聞きました。

 「地球温暖化」で気温が上昇しているはずなのに、全体的に気候が変な感じになっているのでしょうか。
 それとも、ま、こういうこともあるよね、という程度の誤差の範囲内のことなんでしょうか・・・

 WWFジャパンは、「地球温暖化が進むとどうなる?その影響は?」という記事を書いています。
 その科学的根拠を私が検証したわけではありませんが、素人にも分かるように書いてあるのでとても参考なります。

 この記事は2019年12月に書かれていて、「毎年のように異常気象による河川の氾濫や土砂災害などが多発しており、この先1.5度、2度と気温が上昇していくと影響がさらに深刻化していくことが懸念されます。」と指摘されていますが、実際、2020年以降、日本でも世界でも異常気象による河川の氾濫や土砂災害などが続いています。
 もう、「今年は酷かったね」では終われない、今後ずっと続くものとして見過ごせない状況になっているんですよね。

 温度が急激に下がることが温暖化の1つの現象であるかどうかについて明確な記載はありませんでしたが、気候の変動の1つとして関連性はあるかも知れないと思っています。

 日本では、平成10年に「地球温暖化対策の推進に関する法律」(温対法)が制定され、以後6回にわたって見直しと改正がされてきましたが、昨年、またまた改正されましたので、今日はその改正法について簡単に見ておきます。

改正の概要

 今回の改正は、以下の施策を目的として行われました。

① 基本理念を新設し、2050年までのカーボンニュートラルの実現を明記する。
② 地域に貢献する再生可能エネルギーの導入を加速させる。
③ 企業の脱炭素経営やESG金融の推進に資するよう、企業の温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度のデジタル化・オープンデータ化を進める。

 これらの施策を推進するため、①基本理念の新設や諸定義の改正と、②地域脱炭素化促進事業の新設がなされました。
 ②については明日以降に書くこととし、今日は①について書きます。

基本理念の新設や諸定義の改定

1 基本理念の新設

 新法2の2で、基本理念が定められました。

 地球温暖化対策の推進は、パリ協定第2条1(a)において世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも摂氏2度高い水準を十分に下回るものに抑えること及び世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも摂氏1.5度高い水準までのものに制限するための努力を継続することとされていることを踏まえ、環境の保全と経済及び社会の発展を統合的に推進しつつ、我が国における2050年までの脱炭素社会(人の活動に伴って発生する温室効果ガスの排出量と吸収作用の保全及び強化により吸収される温室効果ガスの吸収量との間の均衡が保たれた社会をいう。)の実現を旨として、国民並びに国、地方公共団体、事業者及び民間の団体等の密接な連携の下に行われなければならない。

地球温暖化対策の推進に関する法律 第2条の2「基本理念」

 この基本理念は、2020年10月26日の菅義偉内閣総理大臣(当時)の所信表明演説で示された「カーボンニュートラル宣言」【※】の内容を反映したものです。

【※】
「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」
「成長戦略の柱に経済と環境の好循環を掲げて、グリーン社会の実現に最大限注力」
「積極的に温暖化対策を行うことが、産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながるという発想の転換が必要」

2 国の責務の追加

 新法3条3項では、国の責務に、「必要な資金の確保」が追加されました。

 国は、自らの事務及び事業に関し温室効果ガスの排出の量の削減等のための措置を講ずるとともに、温室効果ガスの排出の量の削減等のための地方公共団体の施策を支援し、及び事業者、国民又はこれらの者の組織する民間の団体(以下「民間団体等」という。)が温室効果ガスの排出の量の削減等に関して行う活動の促進を図るため、そのための施策及び活動に関する普及啓発を行うとともに、必要な資金の確保、技術的な助言その他の措置を講ずるように努めるものとする。

地球温暖化対策の推進に関する法律 第3条3項

 経済産業省の令和3年6月に、内閣官房、経済産業省、内閣府、金融庁、総務省、外務省、文部科学省、農林水産省、国土交通省、環境省が共同で出した『2050 年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略』には、ESG金融の促進、企業の脱炭素化の取組の後押しやカーボンニュートラルに向けた税制措置等に取り組むことが書かれています。

 企業、特に中小企業がカーボンニュートラルに取り組むには先立つものが必要ですから、この改正はとても大切です。

 カーボンニュートラルに取り組むための資金が必要なのはやむを得ないとしても、取り組めば取り組むほど金融機関から評価されて融資を受けやすくなる可能性が高まっているのですから、必要経費と割り切ってまずは取り組んでみることが大切ですね。

 ②地域脱炭素化促進事業の新設については、また明日。

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